・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

穂高岳・大キレット縦走(1)

2014/09/12(金)〜09/15(月)
報告者
瀬川
山域
北アルプス・穂高岳
ジャンル
岩稜縦走
天候
3日間とも、晴れのち午後からガス
行程

9/12(金)調布20:00 == 松本IC == 0:00新穂高温泉P
9/13(土)新穂高温泉P6:00 ⇒ 6:55穂高平小屋7:01 ⇒ 7:45白出沢出合7:57 ⇒ 9:00滝谷出合(滝谷避難小屋)9:10 ⇒ 10:00槍平小屋10:25 ⇒ 14:10南岳小屋
9/14(日)南岳小屋6:00 ⇒ 7:30長谷川ピーク7:35 ⇒ 9:45北穂高小屋(北穂高山頂ピストン)10:35⇒【渋滞】⇒ 13:05涸沢岳山頂13:15 ⇒ 13:30穂高岳山荘
9/15(月)の記録へ続く・・・

報告

初日に頑張って稜線まで登ってしまえば、翌日は困難な縦走に集中できる。槍平小屋まで軽快に飛ばし、水を補給しながら体を休めて南岳新道に備える。南岳新道は噂に違わぬつらい急登のルート。短いハシゴも多数の悪路。その代わり、どんどん標高を稼ぎ、気づくと槍平小屋がはるか下に見下ろせる。寝不足の体が次第に順応していくのがわかる。小屋泊の身軽な装備にも助けられ、少々の余裕をもって登り切る。

途中からガス。南岳小屋で手続きを済ませ空身で南岳を往復したが、ほとんど見通しが効かない。3000メートルの稜線は気温もひと桁に。先週末に前穂に登ってきたHさんによると、一週前とはまったく違う寒さらしい。久しぶりに好天を迎えた連休とあって小屋は込んでおり、一つの布団を2人で使ってくれとのこと。皆、あまり眠れなかったようだ。だから夜が長い。3時過ぎに外に出てみた。すると満天の星空。晴れた空が有り難くて睡眠不足も気にならなくなった。

14日、いよいよ大キレットに挑む。北穂から奥穂までの稜線もむしろ悪いと聞いており、油断のならない一日と気を引き締める。獅子鼻岩から二つの長いハシゴを一気に降りる。長谷川(H)ピークまでは稜線歩きが楽しい。Hピークからいよいよ危険地帯の幕が上がる。まず、ナイフリッジの乗っ越しと下りに驚き、次に現れた飛騨泣き(なるほどよく言ったものだ)では、滝谷の沢が誘っているかのようなトラバースに唸った。あきれるほどの急峻な登りの果てに、北穂小屋は建っていた。北穂山頂の往復後、お約束のテラスに陣取ってコーヒーをすすりながら興奮を静め、次の難関のために十分休息を取る。涸沢からのルートもある北穂小屋は大変な混雑振りで、飲み物とお土産を求める列が小屋の端まで続いた光景は、BGMでも流れていたら観光地と錯覚したかもしれない。

次の奥穂までの感想--凄い!(Sさん)、楽しい!(Yさん)、・・・(S)。期待通りというか、本日、一番の核心は涸沢岳とにらんでいた通りの展開。踏破には集中力、判断力、体力の3拍子を維持する必要があると言われるのは本当だと思った。なかでも体力の重要性を実感した。神経のすり減るような場面が続いた後に涸沢岳が壁のように立ちはだかる。体力を使い果たしてしまった人ならば、あれを登るのかと思わず泣き出したくなるだろう。そして集中力も判断力も鈍っていった挙げ句にゲームセットだ。もちろん、それぞれに準備をしてきた僕らは問題なく切り抜けた。

落石・浮石は危ない。涸沢岳近辺はハシゴや鎖場で上り下りとも大渋滞が発生し、すれ違いに大変な時間を要した。人が多いから落石のリスクも増大する。涸沢岳では身近に2度の落石があり、1度目は5,6個の石がカラカラと少し先の急斜面を転がり落ちた。幸いルートから少し外れた方向に落ちたから誰にも当たらなかった。2度目は、野球ボール大の石が私のヘルメットをかすり、股の間を落ちていった。浮石も怖い。私のすぐ後ろを登っていたYさんのガバっと取り付いたバレーボール大の石が、ぐらっとはがれた。優れた反射神経と3点支持によってバランスを維持し、Yさんは事なきを得た。

穂高岳山荘の混雑も大変なものだった。早い時間に手続きした僕らは1枚の布団に2人。夕方6時になっても宿泊希望者が途切れず、受付では1枚に3人と言われていた。山荘前の広い石畳もテント場と化した。奥穂山頂へのルートも午後はずっと大渋滞で、しかもガスに覆われて晴れなかった。奥穂ピストンのタイミングを図っていた僕らだが、時間的に諦めざるを得なかった。

いざ出発。携帯を車に忘れ、不吉にもストックが壊れるS
槍平小屋で水を補給。Sはストックを応急処置
好天の中、小屋の裏手から南沢を登り始める
樹林帯を抜けるとガスが。電話で仕事する余裕の人も
空身で南岳を往復。ガスで何も見えず
2日目の朝。絶好の天気に恵まれ、南岳小屋を出発
これから挑む大キレットをバックに1枚
長谷川ピーク手前から南岳を振り返る
長谷川ピークにて
長谷川ピークを慎重に下降する人々
北穂高山頂!うしろに槍からの稜線を望む最高の1枚
滝谷ドームへ。飛騨側は不気味な断崖が続く
信州側は涸沢と前穂高・北尾根がきれいに見える
涸沢岳への険しい登り。ガスも出始める
涸沢岳の頂に立ちホッと一息