・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

研修部 山岳レスキュー講習

2023/11/11(土)〜11/14(火)
報告者
研修部 篠塚
山域
大野アルパイン道場、阿寺の岩場
ジャンル
研修
天候
曇り
行程
報告

趣旨:山行中に登山道を踏み外し滑落した場合等の要救助者のレスキューを行えるスキルを身に着ける
講習内容:
1)午前の部  座学、ロープワークレクチャー
・ソロ登山のリスクに関して理解する。(レスキュー、救助支援の遅れなどによる生命の危険度が増す)
・滑落時の要救助者まで向かう際の心構え(落石を誘発するため、要救助者の直上から近寄ることの危険さを理解する)
・ロープの結束方法 フィッシャーマン等
・ムンターンヒッチ、グローブヒッチの方法
・1/3荷揚げシステムの作り方実演
・簡易ハーネスの装着方法(悪場を移動するも、滑って踏み外した場合の衝撃を経験する。)

2)午後の部  午前の部の講習内容を現場実技(阿寺の岩場)
・フィックスロープを張った場所で簡易ハーネスを装着し悪場想定の移動
・滑落想定で要救助者まで複数ロープを結束してのムンターンヒッチでの下降
・要救助者を安全に下降する方法(1/3システム、ムンターヒッチの実技)
・要救助者を登山道までひき上げの1/3システムの実技

【報告】
大野さんを講師にお招きし講習を行うのは、2020年度の「外岩トレーニング」以来3年ぶりとなったこと、改めてコロナによりいろいろなことが制約されていたことが思い出される。
さて、今回の講習を受け、以下に特筆すべき事項を報告する。

<ソロ登山に関するリスク(座学)>
最近のニュースで北アルプス三俣蓮華岳の山岳遭難は記憶に新しい。ソロではなく2人パーティーであったが幸い長野県警ヘリに救助され九死に一生を得た。今回講習テーマにも上げ大野さんからソロ登山のリスクにも触れていただいた。不幸にも遭難しレスキューを呼ぶ、若しくは生命の危機に及ぶ等のあらゆる事態を想定すると、ソロ登山はレスキューに掛かる時間を要する、最悪死に至るリスクをはらんでいることを肝に銘じることが必要であることが理解した。

 
<滑落時の要救助者まで向かう際の心構え(座学、現場実技)>
要救助者へのアプローチとして、焦って要救助者へ向かわない。まずは声掛けを行い意識の状態を確認すること。落ちた本人は冷静になっていないこともあり「大丈夫だ」と言いがちで、要救助者は状況理解をよく行い、救助に当たっては落石を誘発する様なアプローチを行わないことが肝要である。

<簡易ハーネスの装着方法(座学、現場実技)>
当会は山行基本装備として8mm細引き、長短スリング・テープスリング、カラビナ(環付、無し両方)の携帯を推奨している。悪路となった登山道で滑落防止策として、簡易ハーネスを作り安全に通過することを想定している。但し簡易ハーネスは、少し足を滑らして落ちない程度の代物で有って、実際に落ちた場合に身体に掛かるか衝撃を会員各位は経験済だろうか? 実際壁に付けたハンガーにカラビナを付けて軽く落ちてみた。スリングが胸周辺に食い込み5分と我慢が出来ない。正に“つるし上げの刑”さながら。衝撃軽減対策としてクライミングで使用するシットハーネスを模した形にテープスリングを腰回りにして、上部の簡易ハーネスとカラビナで連結させると衝撃が身体の上下で分散できることが理解できた。

<1/3荷揚げシステム(座学、現場実技)>
レスキューを想定して山行装備のカラビナを滑車の代わりとしロープとで、1/3システムも構築し参加者で行った。結果、カラビナでは摩擦抵抗が大きすぎて人を持ち上げる事が全くできなかった。ロープワークに関するガイドブックにも記述されていたが、1/3システムを滑車代わりにカラビナでは全く歯が立たない事を理解した。山行の際に滑車等は持たないので専用道具を持ったレスキュー隊員となってしまうであろう。現場実技にて救助者は、いにしえの「肩がらみ」により身体全体でロープを引き上げて持ち上げる方法が確実であったことも付け加えたい。

<ロープは脆弱な存在で有ることを理解して使用すること>
今回通常の山行を想定しての講習ではあるが、クライマーが落石や身体的な理由で意識が無くなった場合のレスキューも講習できた。その方法とは救助者が懸垂下降して要救助者を救助者とカラビナでつなげ、要救助者が使用したロープを切断して安全な場所へ下降を行った。この様なレスキュー方法を知ることも初めてだが、ナイフを軽く当てるだけロープ切断がいとも簡単であったことのショックが大きかった。岩場で鋭利に尖った場所に当てない様に注意が必要。

<最後に>
今回の講習は“現場で使える技術を習得する”、“実際にやってみる”、を実践した。例えば、悪路となった登山道は「簡易ハーネスを装着して歩こう」は、言葉で理解しても、“もしもの時にどうなるか“、を知って初めて技術を習得できると今回の講習を通じてえられた。今後も研修は継続していきたい。

@大野アルパイン道場
細引きロープの収納は細引きに環付きカラビナを付けた状態で袋状のものに入れることで要救助者へ投げることが出来る
簡易ハーネスを装着で落下の実演。かなり痛い
1/3システムの実演。人は上がらない!
ムンターヒッチで荷揚げのバックアップ
古の方がらみで引き揚げ
クライマーの救助、要救助者を救助者につなげ、要救助者のロープ切断