早池峰山・焼石岳・八幡平山
23-1007-09早池峰山・焼石岳・八幡平山
10月7日(土)早池峰山
東京駅6:56発はやぶさ51号に乗り出発、9:10には盛岡駅に到着、早い。2時間45分。
すぐM(ゲスト下の名前)さんと合流して下に降りて行くとすでにFさんが車で待っていてくれる。ご挨拶して乗り込む。実にスムースだ。岩手県は良く晴れている。これなら早池峰山も期待できる。
「今日泊まる予定だったつぶ沼キャンプ場は、熊が頻繁に出ているのです。張り紙や幟がそこら中に有ってどれも熊、熊、熊と有ります。車内なら大丈夫なのですがテントでは危ないので、つぶ沼キャンプ場は止めました。」とFさんの話だ。岩手は熊が多いのだろう。それは東京とは違うだろう。Fさんは何度も山で熊を見ているようだ。私は2回しか見たことがない。Mさんはまだ野生の熊は見たことがないとのことだ。
途中コンビニに一度寄って、山の中をかなり進んでいく。河原駐車場に11:40到着。ここから30分歩いて小田越登山口、トイレが並んでいる。良い天気だ。記念写真を撮って出発。10:52出発、登るにつれてガスがかかってくる。気温も下がってくる。先週までは山でも夏だったがここでは確かに秋だ。息がしろい。手がかじかんでくる。途中の岩を掴んで登るところでどうも指の感覚が悪い。掴んでいるのかいないのかはっきりとしない。
少し厚手の手袋に変えると良くなった。寒いのは風のせいが大きい。けっこう吹いている。軽装の若いカップルが登っている。Fさんが「この上は風が強いよ。」と声を掛けている。「頂上まで行きます。」とカップルが進んでいく。
我々は必要かどうか迷ったが持ってきていた冬用のアウターを着込む。正解だった。アウターの下は夏服だが冬用のアウターを着れば寒さはない。雨も降り出してくる。山ではこういう状況も当然ある。準備はしている。私は帽子の下紐を締めてバラクラバを被った。
先ほどの若いカップルが降りてくる。「山頂まで登ったの?」とFさんが聞く。「途中で引き返してきました。雨も降り出したので。」正しい判断だと思う。
岩場を踏みながら登るが風を防げるところが少ない。吹きさらしを進む。13:15早池峰山山頂到着。残念ながら眺望はない。広い山頂は岩稜帯だ。山頂の石作りの社の周りに沢山の剣が並んでいる。修験道の山なのだ。私はこれで百名山84座目、嬉しい。天候などは関係ない。Fさんありがとうございます。
途中Fさんが「山頂は避難小屋を改修していて工事中だと思います。」と言っていたが丁度ぴったりに改修が終わったようで避難小屋が使えた。きれいな避難小屋で風があるので何人もの登山者が入って休んでいる。私たちも小屋に入って昼食と休憩を取る。私は例により赤飯をお湯で戻して食べる。おいしい。サーモスの残りのお湯でみそ汁を作る。お腹が空いているので何でもおいしい。小屋の中でも息は白い。けっこう気温が下がっているようだ。避難小屋が出来ていて助かった。小屋の中に火の用心のお札の前にかわいらしい天狗のお人形が飾られていた。Fさんが名古屋の山岳会に入った頃のお話などを聞いてお昼を摂り休んで下山にかかる。
下山にかかるとガスが切れかかってきた。するときれいな景色が眼下に広がる。遠くを見ると下界は晴れているのだ。8合目の上あたりがガスっているのだ。
無事下山すると登山口のあたりは実に良い天気だ。予定より少し早めに出発、途中夕食の食材など購入しようかと考えたがFさんが「一応鍋の食材を持ってきていますよ。」とおっしゃる。水も10㍑有るという。恐縮しながらもごちそうになることにする。
宿泊予定地には明るいうちに到着したので、私はウヰスキーを飲み出した。Fさんは元からのまないし、Mさんも「今日はいいや。」というので大して飲まない私だけが酒を飲むということになった。しかし、持参した安いウヰスキーがFさんの持ってきた水で割るとおいしい。「水道の水ですよ。」とFさん。どうしてか分からないが、おいしくて私は二日分と思って持ってきたウヰスキーを全部飲んでしまった。夜トイレに行こうとして身体がフラフラするので飲み過ぎたことが分かった。Fさんが作ってくれた鍋はお肉たっぷりでおいしくお腹いっぱいになった。鍋、食器まで持ってきていただきFさんありがとうございました。
Fさん「明日は素早く出発して食事も向こうの駐車場でとりましょう。そこにトイレもありますから、駐車場が一杯になると止める場所が遠くなるので早めに行きましょう。」とのことで4:00に起床して準備でき次第出発と言うことになった。
午後8:30頃就寝。
10月8日(日)焼石岳
4:00起床。私はまた右足が痛んで余りよく眠れなかった。そのおかげであまり楽しくない夢をみた。山行に来ているのだが登山前の民宿に泊まってる時にぼけてしまうのだ。必要な品物を幾つも忘れるのだが部屋に取りに行こうと思うと、自分の部屋が分からずたどり着けないのだ。これには困ったし焦った。百名山も途中であきらめなければならないかとがっかりしたところで目が覚めた。夢でよかった。
30分ぐらいで荷物をまとめテントを撤収して出発した。食事もしないので早い。途中車で走っている時に熊が道路傍を走っているのを見た。FさんがMさんに「初熊目撃だね。」Mさん「わーいるんだ。」このあとも狐を見たり、山鳥を見たり、狸が車にぶつかったのだろう道路で死んでいるのを目撃した。
山の中を走り中沼駐車場に到着、かなりの台数が止められる駐車場だがなんとすでにほぼ満杯になっている。お湯を沸かしてカレーメシを食べ、コーヒーを飲む。この時勘違いしてカレーメシを尾西の赤飯などと同じく10分待ったが、カレーメシは5分で良いのだった。カレーメシは始終食べるとすぐに飽きるがたまに食べるとおいしい。
6:10ごろ駐車場出発。途中登山道に水が流れている。Fさんもあまり見ない水だそうだ。25分ぐらい歩いて大きな沼中沼にでる。まだ紅葉は早い。今年は本当に遅い。沼は鏡のように周囲の風景を写している。
銀名水に8:00頃着、きれいな水が湧いており傍らに避難小屋がある。進んで行くと、かなりぬかるんだ所もあったが、これもうまいことに工事が終了しており木製の階段が作られていた。これには助けられた。
ここを少し過ぎたあたりから景色が大きく開ける。樹林帯を抜けたのだ。たけの低い灌木、草や笹になるので見通しがきく。行く手にゆったりとした山々の連なりが見える。東北らしい景色に思える。紅葉も始まっている。これから行く登山道が見え、尾根を歩く人も見える。池塘を見ながら進んでいく。
今日は昨日とかわりとても良く晴れ風もない。天候に恵まれた。
9:45ごろ焼石岳山頂着。360度の絶景だ。東北の山々を心行くまで堪能する。気持ちがよい。焼石岳にはもう一つ東焼石岳が並んでいる。帰りにそちらも歩いてみることにする。Fさん「少し距離が長くなるが、危ないところもないし良いですよ。」と言う。Mさん「せっかくだからね、歩きましょう。」。
頂上から来た時の道とは違う道を行く。下ってしばらくすると大きな岩の下山路となった。岩の上を時には飛びながらいくようで、飛ぶ先が岩の切っ先だと少し躊躇する気持ちが湧く。若い時なら壮でもないだろうがなかなかピョンピョンと岩を渡るのことは易しくなくなってきている。ヒヤヒヤしながら岩場を越えていった。
東焼石岳山頂はガス、そんな時もある。山頂にあった丸太に腰をかけてお昼を摂る。焼石岳は近隣の方達に人気のある山のようだ。先ほどの山頂で中年のご婦人が「私は焼石岳ばかり登っているんです。一人でも来られるし、仙台からです。」等と話していた。草紅葉の草原を時々池塘を見ながら歩いて登山口に到着。
「今晩は盛岡冷麺にしましょうか。どこがいいかな。」とFさん混んでいるかも知れないと気にしながらピョンピョン亭へ。とても人気のお店だ。冷麺は小盛り、普通、大盛りとある。Fさんは大盛り、私は普通と小盛りのビビンバ、Mさんは小盛りとチヂミをオーダーした。チヂミにもいろいろな種類がある。
大満足でおいしく頂いた。冷麺は割とさっぱりしていた。辛みは別添えで好みの辛み量を加えられるようになっている。
食後盛岡市内から八幡平へ向かう。
10月9日(月)八幡平
八幡平は三度目になる。もちろん来る度に違う景色となる。今回も期待できそうだ。空が晴れている。車で上っていく途中岩手山が姿を現す。はじめのうち山頂が雲に覆われているがしだいに雲が流れていく。「今日の岩手山は良いですよ。雲が良い具合にかかって空の雲もおもしろい。」とFさん。「以前写真を撮る人に快晴で雲一つなくて良いですねと言ったら、快晴の空はおもしろくないんだ雲があった方がおもしろい。と言われたことがあってね。」なるほど。八幡平の上は雲がない。しかし岩手山側はおもしろい雲が山にかかり、上空にも秋の空が広がって、なかなかドラマティックな風景となっている。岩手山を何枚も撮っておく。良いのが一枚ぐらいあるかも知れない。
早朝なので人が少ない。少し冷たい空気の中石畳を踏んでいく。気持ちがよい。昨日までと違って荷物も背負っていない。今日の八幡平は絵はがきのようだ。くっきりと澄んだ空気の中湖沼が光っている。「朝の八幡平はいいなあ。」何度来ているか数え切れないぐらい八幡平を訪れているFさんが言う。景色を眺めていると陶然としてしまう。山では時々ある。自分の一部が風景の中に溶けていくような感覚だ。
八幡平を堪能して下りる。中国語を話す登山者二十人ぐらいの人達とすれ違う。「台湾と直行便があるのです。」とFさんなるほど。おそらく台湾の方と思われる人達は日本人よりはかなり色彩があでやかだ。明らかに色味の好みが違っている。日本人の好みは地味すぎるかも知れない。最近は黒が本当に多い。
八幡平をおりて盛岡へ向かう。
盛岡市の中心に車を止めて南部藩の城跡を見学する。見事な石垣が残っている。ここでFさんが盛岡観光ガイドも出来るぐらい盛岡に精通していることが判明した。石垣、啄木について、市内の建築物、南部鉄器、南部せんべいのお店にも案内して頂いた。私は南部せんべいはごまとピーナッツだと思っていたがその他にも白、カボチャの種、ひまわり、いか、チョコなどなど様々なものがあるのだ。老舗の「白沢せんべい店」でピーナッツとカボチャ種とひまわりをFさんにごちそうになったが店先で食べたせいもあったかもしれないがとてもおいしかった。荷物を気にしなければ買いたかった。お土産は奥州ポテトと決めていたので我慢した。さらに石割桜も見学した。盛岡の地下は堅い岩盤で覆われているそうでその一部の大岩を見事に二つに割って桜の老木が生えている。
昼食は盛岡三大麺の一つ「ジャジャ麺」。わんこそば、盛岡冷麺、ジャジャ麺が盛岡三大麺。このジャジャ麺についてもFさんのうんちくはつきることがない。ご自分で何回も食べていなければこれは分からないし、地元の方でなければこれほどは深く詳しくおもしろく語れるものではない。先代のご主人の話や食べる人達の食べ方のこだわりなどとてもおもしろかった。
盛岡にいったら是非ともまた食べたい。ジャジャ麺は3度食べないとその味わいがわかりにくいそうだ。
今回の山旅はFさんのおかげで本当に充実した楽しいものになりました。Fさんありがとうございました。またの機会を是非ともお願いいたします。