・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

槍ヶ岳

2023/09/01(金)〜09/03(日)
報告者
加藤隆太郎
山域
北アルプス
ジャンル
夏山登山
天候
晴れ
行程
報告

23-0901-03槍ヶ岳
9月1日(金)
本日はSさんが4:00に自宅へ来てくれた。上高地にある程度の時間に到着するためにはなるべく早く出発したい。暗い中出発する。最近は夜明けが5:00過ぎになった。
中央高速道路を行く途中後方が次第に明けてくる。あかね色が美しい。
途中雨が降っている所もあったが、沢渡は快晴に近い。暑い。しかし金曜日とあって車は少ないかと思うが、第3駐車場は一杯最後の一台に滑り込む。
上高地まで駐車場からバス代金往復2400円。軽装で上高地をハイキングする人達も多い。 バス乗り場に行くと8:30発のバスに乗れ、すぐに出発した。途中焼岳バッチを購入した中ノ湯温泉前を通過、約30分で上高地着。
久しぶりの上高地は何となく気持ちが高揚する。金曜日とあり人はさほど多くない。
上高地から明神平、徳沢園、横尾と歩くがテントが多く張ってある。天気が良ければ本当によいテン場で快適なことだろう。目の前には清流と迫るような山々だ。
横沢から道は二手に分かれる。一方はから沢へ一方は槍ヶ岳へ通じている。ここで私たちはのんきにから沢への道を歩き始めた。Sさんが「ちょっと確認しますね。やはり間違えている。穂高の方へ来ている。どれぐらい歩きましたかね?」と言った時には小一時間ほど来ていた。戻る。しかし、戻ってみると結構長い。快調に飛ばしていたのだと分かる。  
横尾に戻り少し休む。槍沢ロッヂへの道を行く。先を行くSさんが速い。1時間40分の所1時間と少しで到着した。
缶ビールをまず飲む。600円。槍沢ロッヂはきれいな小屋だ。おまけにお風呂まである。広い自分のスペースに荷物を置いて、早速お風呂に向かう。石けんは使えないがお湯をかけて汗を流す。実に気持ちがよい。明日も入れると思うとありがたい。
槍沢ロッヂ夕食付き12500円。
ビールを飲みながら外のベンチに座っていると、小さなネズミが出てきてあちこち歩いている。背中に黒い縞がある。女性客が手を出すと手の上に乗る。肩の方まで登って行くほど慣れている。人気者だ。「ヤマネだね。」の声が聞こえる。しっぽを入れないと6㌢ぐらいしかない。
 今日は6:00から夕食、宿泊人数が多く夕食は2回に分けて摂る。食事を終えて話をしていると「19:00から集まりがありますので引き上げをお願いします。」と言われた。
 一階のテーブルでウヰスキーを少し飲んでいると、「ただいまから播隆上人開山記念の前夜祭を行います。どうぞご参加下さい。」との声がかかる。Sさんと一緒に食堂に行くと入り口で飲み物を配っている。ビールやソフトドリンクがある。一つずつ頂いて席に着くとおつまみがセットされている。
19:00から播隆上人のお話を寺の副住職より聞く。はじめて槍ヶ岳がどのように開山されたか聞いた。播隆上人を記念して毎年9月1日に播隆隊という名のグループを組織して槍ヶ岳に3泊4日で登っているそうだ。今日は槍沢ロッヂで前夜祭、明日は槍ヶ岳山荘での播隆祭となる。
19:30終了後自分たちの寝床へ20:00に消灯、30分には就寝した。

9月2日(土)
3:00起床、例により3:00前には目が覚める。静かに支度をして外へ出る。少し肌寒いが凍えるほどではない。お湯を沸かしカップ麺を食べる。食欲はそれほどないが何か胃に入れておかないと考える。まだ暗い中ヘッデンを点けて歩き出す。月が満月に近く明るい。
ババ平を過ぎる。ここはテン場でほとんどのテントに明かりがともっている。
 5:00近くなるとしだいに明るくなってくる。しだいに高度を上げていく。
途中から槍の穂先がはっきりと見える。見えてはいてもまだまだ先だと考える。鳳凰三山地蔵岳に取り付いた時のオベリスクと同じで近く見えてもかなり遠くにあるに違いない。  今回は槍沢をずっと登り尾根に出て、槍の穂先を目指すことになる。北アルプスの中でも槍沢コースは道が良く整備されている。歩きやすい。
槍の穂先はずいぶん難しそうに見える岩場だが難しいとかいう話は聞いたことがないので大丈夫だろう。
途中播隆窟を過ぎる。岩屋だ。昨日の話にあった場所だ。昔何日かけて登ったのか分からないが三日も四日もかかったに違いない。宿泊場所は岩屋になるわけだ。ヤブがすさまじい訳だから登りは沢筋になる。おそらくこの槍沢が一番はじめのコースだったのであろう。
すばらしい天気だ。晴れ渡っている。周囲の山々が全て姿を見せてくれている。
はるかに上に見えた槍ヶ岳山荘に到着、ザックをおいて山頂に向かう。なかなかスリリングな所もあるが大勢の人達が取り付いている。山頂は思ったよりは広く360度の展望を楽しんだ。目の前にある立派な山が常念だと隣の人が教えてくれた。早速写真を撮る。常念岳からも槍ヶ岳が眼前に見えるのだろう。以前常念岳に登った時は雨であったので景色は望めなかった。
下山の途中播隆隊の人達と播隆窟でであった。Sさん「昨夜は播隆上人のお話をありがとうございました。」と挨拶をする。播隆隊今年は45年目で五年後に50年記念になるとのことだ。Sさん「50年記念には参加したいと思います。」と挨拶している。さっきも「Kさん一緒に行きましょう。」といっていたが私は5年後には77歳だ。10月生まれだからもうすぐ78歳という時期になる。そのころ自分の身体がどうなっているかは分からないと思う。が元気だったら登りたいと考える。今まで百名山で出会った最高齢は77歳で雨飾山だった。松本市玄向寺のHPで4月に募集があるそうで先着30人には背中に南無阿弥陀仏としるされたTシャツがいただけるとのことだ。一つの目標だ。
 
本日は槍沢ロッヂに連泊である。宿泊届を書いて出すと受付の女性が「連泊の方にはサービスで飲み物券がつきます。」とのことでソフトドリンク、缶ビール、生ビールから選べる私たちは迷わず生ビールいただく。購入すると1000円だ。全く予想していなかったことで大分得をした気分である。昨夜は播隆祭前夜祭で飲み物を頂き、また今日も生ビール。
15:00少し前に「お風呂の用意が出来ました。」の放送がはいる。Sさん「混んでるのではないですか。行きますか。」行って見ると確かに数人がすでに着替え始めていた。女性の方は風呂の外にまで並んでいる。しかし新しい湯に入りたい。すぐ着替えて入る。どうにか湯船に潜り込めた。少しばかり熱いがかまわず入った。気持ちが良い。生ビールに熱い風呂とはまことに贅沢の極みだ。
 本日は夕食が17:00からなので17:30には食べ終わった。同席のカップルの方は何と先週の土曜日に巻機山に登ったとのことだった。何とニアミスだ。私たちは日曜日に登った。 その女性ははあまりに景色が良くて寝不足の体調不良をすっかり忘れたと言っていた。 私は少しばかり残念な気分になった。私たちが登った時はガスの時間が長かったからだ。そういう日もある。
今夜は何と18:30頃には就寝してしまった

9月3日(日)
4:30灯りが一斉に点いた。10時間も寝てしまった。Sさんは「それだけ疲れていたと言うことですよ。」と言う。休憩を含めて10時間歩いて10時間寝たことになった。
今日はロッジから上高地まで歩き、車で帰京する。何となくのんきな気分だ。がこういう時にも事故は起きるので気持ちを引き締めて行く。
朝の支度を終え出発前のコーヒーを飲んでいるとグループが出発前の確認をしていた。その中でご夫婦が今日の槍ヶ岳への山行を取りやめロッヂに残ることになった。なんでもここへ来る前に昨日足がつったとのことだった。Sさん「足がつったのですか。これを差し上げます。良く効きます。」と漢方薬68番を渡している。「ありがとうございます。これからが良いところなのに残念です。」「これ朝食昼食用のおにぎりなのですがいかがですか。」酢飯のおにぎりのようだ。ロッジの朝食昼食用ご飯だ。我々も朝食を食べたばかり「ありがとうございます。結構です。」と断っている。しかし、Sさんの全方位的外交路線は驚く。これではネットワークが広がらないわけがない。これは生来の性格と長年の営業職としての努力が相まって培われたものだろう。
下山は所々で休みコーヒーを楽しみながら下った。
山行最後の昼食は日帰り温泉で山賊焼き定食、とてもおいしかった。
Sリーダーお疲れ様でした。最高の槍ヶ岳でした。またよろしくお願いします。