北アルプス 8月1日-2日 高天原・水晶岳・鷲羽岳
23-0801(火)4日目 距離3.2㎞ のぼり130㍍下り463㍍ 7時間21分
雲の平キャンプ場-雲の平山荘-祖母山-雲の平山荘-高天原山荘泊
昨夜は寒くてよく眠れなかった。いろいろ着込んでシュラフカバーで寝たのだが、今日はたいした距離は歩かないし強烈な上り下りはないのでいけるだろう。
今日はゆっくり朝4:00起床、テントを撤収して雲の平山荘へ5:13出発。今日はテントが乾いている。
Sさんは山荘でコーヒータイム、Tさんと私は祖母山へ向かった。20分にも満たないわずかな登りだが、ほぼ平原の雲の平が遠くまで見渡せる。この景色が心に残った。たぶん一生忘れられないだろう。空の黒いような青、濃い平原の緑、岩、池塘、遠くにはアルプスの山々、近くには雲の平山荘。
今日も重量は気にならず歩けた。距離も短いしくだりが多い。
高天原は雲の平とはまた違った美しさだ。ここまで来ると外国の方は少ないようで全く会わなかった。
高天原山荘で荷物を下ろして温泉に向かう。「露天風呂からまつの湯」だ。片道行き20分帰り30分かかる。登山靴に履き替えていく。正解だった。サンダルでは苦労したことだろう。
流れる川のほとりに湯場がほってあって囲いも何もないのが「混浴風呂」、川を渡って囲いがそれぞれあるのが男湯と女湯だ。温度も丁度よい。硫黄成分が多い泉質だった。湯は白く濁っている。石けん類は使えないので何度も頭に湯をかけて流した。ゆっくり浸かった。極上の時間だ。
山荘に戻り、今日は時間があるのでTさんにお茶を点ててもらう。これは贅沢な時間となった。久しぶりに頂いたお抹茶は実においしかった。表千家と裏千家のお茶の点て方の違いなどを聞いた。山でのお茶は自分でもやってみようかと思うほどおいしい。
夕ご飯まで時間があるので地図を見ていろいろ話をする。ここでTさんが「明日は予定通り水晶岳、鷲羽岳に登り三俣山荘キャンプ場泊とする。しかしその翌日は距離が長すぎるので、黒部五郎小屋キャンプ場泊にして予備日を使う方が安全だ。」と提案してきた。
確かに地図を見れば見るほどばてた時の辛さが見えてくる。黒部五郎小屋キャンプ場をすぎるともう小屋やテン場は太郎平小屋までないのだ。この日の当初予定歩行距離は15.7㎞、これを2㎞ほど減らす案となる。
夕食になりランプが灯される。ランプの宿名前の由来だ。ここのご飯は釜で炊いてある。「わーご飯がおいしい。」とTさん。たしかにご飯はおいしい。しかし私は食欲がなくなっている。明後日の行動への不安が原因だろうか。私はそんな繊細な人間だっただろうか。 Sさんは相変わらずおかわりして食べている。前の座席の男性が今日水晶、鷲羽に登ってきたらしく楽しそうに感想を語っている。
私はこの日、体力回復を自分の課題としてご飯後すぐに寝て朝まで起きなかった。
SさんとTさんはいろいろなことを話し合い、コース、予備日などについても話し合っていた。
23-0802(水)5日目 距離9.8㎞ のぼり1078㍍くだり658㍍ 12時間7分
高天原山荘-水晶小屋-水晶岳-水晶小屋-ワリモ岳-鷲羽岳-三俣山荘テント場泊
午前3:00起床、手早く荷物をまとめて外に出る。湯を沸かしコーヒーを飲む。水は良く計算して途中で入手することを考え最低限の量とする。
今日頑張れば水晶岳と鷲羽岳の2座に登ることができる。このところ夜が明けきらないうちに出発しているが月が明るくて助かる。
歩き出しは割と平坦で歩きがすすむ。重量にも慣れてきている。われわれは旧バージョンを脱ぎ捨て一段階進化したようだ。そんなことがあるのだ。
岩苔乗越まであと少しとなったところで急坂が始まる。ゆっくりと登り切る。ここからわずかな登りでワリモ北分岐、ここに沢山のザックがデポされている。私たちもここにザックをデポする。身軽になっていくがここからはほとんど岩場だ。手を使うことが増える。 水晶小屋に到着。ポカリを買う予定だったが売り切れ3時間後にヘリが来るとのこと、予定が狂った。Sさんはここで水を500ミリリットル購入。
私はバッチをもとめた。いくつかあるバッチの中にカッパのバッチがある。こんな山中でなぜカッパなのか不明である。
水晶岳は別名黒岳、確かに黒い岩がおおっている。75座目である。嬉しい。
安全に水晶岳を降りて、鷲羽岳に向かう。今度は重量を全て背負って行く。鷲羽岳は76座目。
三俣山荘からは景色がよい。なかなか感じの良い小屋だ。ただ小屋の内外に人が多い。鷲羽岳のバッジをもとめた時ここでもカッパのバッチが売っている。理由を聞いたところ、このあたりのことを描いた小説があって黒部の山賊などが登場する、その中にカッパの話が出てくるのだそうだ。カッパのバッチも買ってしまった。魚を担いだカッパ、下には「黒部源流」と書かれてある。今度読んでみよう。
夕食3はピーマンとさつま揚げの炒め物、高野豆腐とかぼちゃの煮物、ご飯と今日もおいしく頂いた。Tさんありがとう。
我々がテントを張っているところは水場、小屋に一番近いサイトなのでテントが混み合っているのだが、そこにすきまを見つけてテントを張り始める気配がある。もう暗くなっていたから19:30過ぎだろうか。なかなかうまく張れないようでいろいろ独り言を言っている。「なんで立たないのかなあ。あっ眼鏡がない。ここはどうする?」どうやら年配の男性らしい。すでにほとんどのテントは就寝している。ごそごそは止まらない。「おかしいなあ。」などと声が聞こえる。
我々のテントの隣である。見かねたTさんが出て行った。「お手伝いしましょうか?モンベルですね。」「・・・・・・」聞こえているだろうに返事はない。
「モンベルなら分かると思いますので、お手伝いましょうか?」「・・・・・・・・」(ごそごそ)、照れくさいのか何なのか返事はない。Tさんも困ってしまう。しばらくして、Sさん「もうほっておいた方がいいですよ。」しょうがない。
どうやら他のテントから今度は男性が出てきて手伝おうとしている様子だ。
少し滑稽な場面ではあるのだが、ここは結構冷えるのだ。テントなしで眠れるとは思えない。凍えるだろう。私の頭の上でさらにしばらくごそごそは続いた。
翌朝Tさんに聞いたら、ポールが一本しかなかったそうだ。それではテントは立たない。テントを購入して初めてのテント泊だったようだ。
Sさん翌日ヤフーで山の事故を検索していた。あのようでは死んでしまう可能性もある。
幸い該当する事故は無かった。