守門岳
23-0610-11守門岳
梅雨時の山行はどうしても天候に恵まれず中止となることが多い。自分のことだが先週も雲取山山行が中止になり、翌日に甘利山・千頭星山山行に変更となった。こういった変更がうまく行く時と行かない時とある。
今回の山行は夏の一週間に渡る長期テント泊に向けての訓練山行の意味を踏まえて、福井県の荒島岳を予定していたが天候が思わしくない。調布たづくり前で集合、9:00集合なので時間はゆっくりだ。みなさん時間丁度に集合、挨拶が終わるとすぐに天気の話になる。
Sリーダー「(福井県方面は)天気が時間を追って悪化しているんですよね。まだ北の方が良いようですが。北の新潟でも市内の方が天気が良いみたいなんですが、新潟市近辺では往復2時間なんて山が多くて、もう少し歩きたいでしょう。」山の候補が幾つか上がるが、天気がよりよくて山行時間がある程度あり、すでに雪が雪山装備なしでいける程度に消えている山となると今日明日の天候ではなかなか難しい。ライン上でかわされた話をざっとまたなぞりながら、車の中でしばらくあちこちの候補が上がったが「やはり200名山の守門岳にしましょう。」ということになった。リーダーの頭には「中止」はなかったようだ。
多少降られるかも知れないが、考えてみれば北アルプスの夏1週間の山行で雨なしでいけるとは考えにくい。雨中の山行もかなりの確率でしなければならないだろう。
私は冬から春にかけて日帰りの山行が多くテント泊は立山で一度だけだ。雨の中のテントも望むところではないが体験しておくことが、いろいろなことを思い出させてくれるに違いない。訓練山行という意味でも今回のテント泊守門岳山行は実はかなり適切なものだった。
Kさんとはロープワーク研修で一度ご一緒した。アルパインの好きな女性山屋さん。TさんはSリーダーの会社の同僚友人で我々は初対面だ。スマートな体型の紳士である。
今日は話がショパンコンクールの出場者の話になり、オーケストラを立ち上げた反田恭平、前回のファイナリストでもある小林愛実、名古屋大学医学部に学び医師との二刀流を目指す沢田蒼梧、12歳でデビューしたピアノの王子牛田智大、イケメン東大卒の角田隼斗、個性豊かな天才たちの話で盛り上がった。そこで車の中ではめずらしくクラシックが流れることとなった。
途中上里サービスエリアに止まるが、人出が多い。コロナ前に戻っているように見える。ここでお昼をとる。
高速を下りて下道を走り、「どこか温泉に寄っていきますか。今日はそれぐらいしかお楽しみがないものね。」Kさん「源泉掛け流しがいいな。」Tさんがスマホを駆使して探すが、源泉掛け流しがなかなかない。やっと「神湯温泉」に決定した。大きな施設で立派だ。私は入り口で売られていたスモモに興味を引かれたがなぜか買いそびれた。このあとスーパーに寄るからそこで安く有るかもしれないと考えたからだ。温泉でさっぱりして車を進める。夕食をどこかで調達しなくてはと魚沼市駅近のスーパーに入るが、なかなかにひなびたスーパーで総菜などの品数が少なかったが、飲み物など含めて各人で自分の食べ物飲み物を準備することとなった。自分の場合飲み過ぎには注意しなければならない。持ってきたウヰスキーに500ミリリットルのビールで良いかな。みなさんそれぞれビールや食料品をもとめる。ここはクレジットカードは使えないがペイペイは使えるのだ。「ペイペイは飛び込みで強烈な営業をやったんですよね。」とSリーダーなるほど。
車は山に向かって林道を登って行く。
水面が静止してあたりの木々を写している池を過ぎて、「道院キャンプ場」に到着。きれいなキャンプ場だ。「ああセキレイのひなが、かわいい!」とKさん。受付の建物の正面ポストのなかにセキレイが巣を作りひながかえっている。卵が2㌢もないので産まれたばかりの雛は本当に小さい。ごちゃごちゃとした中に3匹いることをKさんが突き止めた。
残念ながら登山バッチはなかった。ロクテンを張って宴会の準備テーブルとなるベンチを運んで各自もとめた物を並べなかなか豪華な宴会になった。Tさんは豚肉でしゃぶしゃぶとなかなか考えられた食べ物もある。どうもお酒を飲んで話した内容は覚えていない。楽しかったことは良く覚えている。
翌朝は3:30起床、朝食を摂り、しっとり湿っているテントを撤収、登山準備を整えて出発。明るくなるのが早いので助かる。登山口には八王子ナンバーの車が1台止まっていた。どうやら車中泊で仮眠を取っていたようだ。この天気なので車は2台のみだ。靴を履き替えたりして準備完了5:10保久礼小屋登山口を歩き出した。
少し歩くと長い階段が続く。階段が終わると赤土の滑りやすい道が続くが、傾斜はさほどなくしだいにからだが温まってくる。樹林帯の中の道で雨が降っているがあまり濡れずに助かる。道は時折視界が開けるので退屈せず歩けるようになっている。残雪の多い山であるせいか水場がある。
7:15大岳山頂、ここまでくると視界は一気に開け、右手に守門岳が幾つもの峰の先に見え、山々の肌にはまだまだ溶け残った雪が雪渓になって数え切れないほど残っている。これらがしだいに溶けていくので水場もあるし沢も豊かなのだろう。
これだけあちこちに雪が残っていれば登山道も雪渓を歩くようになると分かる。大岳からはいったん下りだ。かなり下ったように思ったが70㍍ほどだろうか。この道の両側には様々な花が咲いている。「この花は何て言う名前だろう、分からないね。」「たしかその花乗っていたと思う。」Tさんがキャンプ場の受付にあったパンフレットを手にしている。それにこの山域の主な花が写真付きで載っているのだ。Tさん以外は誰もパンフレットには手を伸ばしていなかった。そのおかげで3種類ほどの花の名前が分かった。しろいこぶしの花も所々で満開だ。関東の平野部とは大分季節がずれている。かたくりやぎんれいそうなども見かけた。
一箇所だけ赤土の斜面をトラバースする滑り易い危険箇所があった。傾斜がきついし落ちた場合止まるまで距離が有りそうだ。ここを越えると覚悟していた雪渓を踏むところが現れた。ありがたいことに雪渓は傾斜がなく平坦だ。
そこから低い峰を幾つか越えて守門岳山頂9:05。雨がしだいに強まる。頂上の少し前でカッパの上を着たが止まっていると寒くなる。まさしく訓練山行の名に値する。まだ時間が早いので行動食を食べ私はなぜかみそ汁が飲みたくなり作って飲んだ。
先ほども言ったがすべりやすい赤土の登山道に苦労しつつ下った。12:46保久礼小屋登山口到着。スパッツはもちろんズボン雨具などに赤土がなすりつけられている。
カッパを敷いて車に乗り込む。途中「日帰り温泉ゆーパーク薬師」で温泉と昼食を楽しんだ。みんなで申し合わせたように豚丼を食べた。守門岳はとても良い山だった。雨だけが残念だったが雨中の訓練山行、荒天のテント泊訓練としてもとても良い訓練となった。おのおの準備不足だった点を補って本番に備えたい。
Sリーダー、同行のみなさんとても楽しい山行をありがとうございました。またよろしくお願いいたします。