・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

北海道 十勝岳

2022/08/28(日)〜08/28(日)
報告者
加藤隆太郎
山域
北海道日高
ジャンル
夏山登山
天候
晴れ
行程
報告

22-0828 十勝岳登山
火山の溶岩台地の上に望岳台が有る。ここには大きな建物がある。お土産などを扱う施設かと思ったが、そうではなく火山活動に対する防災シェルターであった。私は帰りによって登山バッチがないか聞いたがそういう物を売っているところではなかった。
望岳台からは正面に十勝岳が見える。十勝岳は常時観測火山だそうで、今正に活動中の火山、確かに近づいていくといつ活動が本格化してもおかしくないように感じられる。
望岳台の大きな看板の所まで来ると、かなり遠くまで見渡せる。素晴らしい眺望の名所になっている。この広い登山道からの登りだ。望岳台からすでに樹木がほとんどない。見上げると水蒸気と思われる白い噴煙が一瞬も止まることなく吹き上げている。
今日は風が強い。遮るものが全くと言って良いほどない。斜め前から吹き付けてくる。ストックが流れの強い沢に刺そうとしたように風に流され持って行かれそうになる。カッパの風防を頭に被っていく。大嶌さんはさらにハードシェルを上から着ている。それぐらい風が強い。
強風は全く止むことがない。美瑛岳への分岐「雲ノ平」を過ぎると「避難小屋」がある。のぞいてみるとヘルメットやガス缶、食料などがおいてある。貞さんが「かび臭い。」とおもしろくなさそうに言う。火山活動に備えた避難小屋なのだ。
さらに登ると十勝岳から離れるように左へ曲がっていく。下りてくる人に聞くと上はもっと風が強いという。はじめは岩だが尾根に取り付いていくと真っ黒なざれ場がつづく。スリバチ火口、グランド火口と大きな口を開けている火口の間を縫うように進む。足下は黒い砂だ。火星の砂漠のように植物がない。風がさらに強い。
このような強風の中行って良いのかとも時折思う。帰ってくる登山者とすれ違うのだから我々にだっていけないはずはないと心を励まし進む。風は次第に正面からになる。40㍍ほど前を歩いている登山者が膝をつく。風に逆らって歩き続けているので消耗するのだ。
今度は火口を巻いて右へ進んでいく。十勝岳山頂が近づいて来る。足下がざれから岩にまた変わる。ガスも出てきた。さらに登り続ける。
上の方に何か石碑のようなものがガスの中に見える。頂上か。回り込んでついに山頂だ。写真を撮って、風の来ないところに回り込む。山頂は岩場なので風を遮る場所がある。風が届かないと実に心が落ち着く。十勝岳登頂!うれしい!
一昨日のトムラウシも十勝岳も昼食を摂るような余裕はなく、行動食を摂るだけだ。
自分と比べて貞さんは荷物がとても少ないが、一つには食料がある。私はパン、アルァ米、カップ麺などをもつが、貞さんはカロリーメイト、ようかん、水代わりに飲む牛乳が行動食になっている。そのため荷物の量が減る。手軽でもある。お腹が空くとカロリーメイトを食べてしまうので、「お昼を食べに行きましょう。」というと「今お腹はすいてない。さっきカロリーメイトを食べた。」という事が今回も2度あった。
下りにかかるとガスが切れてきて火口の全貌が見渡せるようになった。本当に不思議な光景だ。風は未だあるが今度は背中を押してくれる形になり悪くない。ただ吹かれてよろけないよう注意が必要だ。
いずれにしろ今回も3人で無事、1度転ぶというハプニングはあったが大事には至らず十勝岳登山も成功することができた。大嶌リーダー、みなさんありがとうございました。