中央アルプス 空木岳
0210912-13 中央アルプス空木岳
9月11日(金)17:00にOさん宅前を出発、中央道を駒ヶ岳へ向けて一本道、2時間ぐらいで集合場所に到着するつもりだったが大分時間がかかった。途中2箇所の工事区間で登りか下りの車線だけを使って対面通行の上50㎞の速度制限があった。これが響いたのだろう。
素早くテントを張って夕食件宴会、今回はテントの中で豪雨には遭わずに済みそうだ。雨が降っているといないとではテント生活の大変さがまるで違う。しかし、しばらく雨に遭わないとすぐそれが当たり前になってしまい雨天テント生活を忘れてしまう。たまには雨天テントも良いのかも知れない。
今回は一日を使って空木岳頂上直下の山小屋まで登り宿泊、翌日登頂し下山帰京という計画である。日帰りも可能な山だが今回はゆっくり楽しむ計画であった。
ただ、今回の宿泊施設空木岳ヒュッテには水がない。購入は出来るが500CC300円かかる。水がザックを重くする。今回もたいした荷物は入っていないのだが水が重い。私で酒お湯を入れて3㍑Sさんは5㍑を優に越える。私でも12.3㎏になる。Sさんは15㎏。したがって今回は歩荷訓練もかねることになった。
9月12日(土)朝Sさんの「5時過ぎましたよ」の声で目を覚ます。最近6人用テントを設営撤去する度に思うのだが、三本のうち一本のポールに通してあるゴム紐が伸びてしまって、繋ぐときに伸びたゴムをポールにたくし入れて組み立てなければならない。いつも修理しようと考えて忘れてしまう。今回は忘れずに修理しよう。それとこのゴムの伸びたポールにはマジックインキで分かるように印をつけよう。このポールは他の物より注意して扱わなければならない。
ゴミを分類廃棄し、朝食の準備、テントを撤収する。キャンプ場はこういうことがスムースに出来るので助かる。
車で登山口へ移動する。途中木曽駒ヶ岳へのロープウェイ駅近くを通過する。結構人が出ている。木曽駒ヶ岳から空木岳への縦走路もある。以前木曽駒にロープウェイで登ったとき悪天候で千畳のカールを見ることが出来なかったのを思い出す。
空木岳は標高2860㍍、登山口が1250㍍、1610㍍の高さを登る。車で登山口へ向かうと途中に登山口への林道が閉鎖されていると記されている。どうするか協議の末行けるところまで行ってみようとなった。林道を上っていくと古城公園とあるところに車が何台もとまっている。ここを過ぎてしばらく行くとやはり林道が閉鎖されている。鉄のゲートが林道の端から端までふさいでいる。どうやら先ほどの古城公園に車を止めて登るようだ。駐車地点からは1時間半ほど徒歩でかかるだろう。この時間が予定よりプラスされる。仕方がない。登山靴に履き替えて登り始める。
林道の途中からショートカットの登山道が見つかりそこを選びながらすすむ。1時間ほどで予定の登山口に到着、登山道を歩き出す。傾斜は緩やかだ。Sさんしばらく歩いて「この山には危険箇所はなく体力勝負の山だとありました。こんな感じの道がながくつづくのかな。」と言ったがこれは後ほど甘かったことが痛切に分かる。
途中水場がある。水量はあまりなく500CCためるのにもかなり時間がかかる。水場は太い樹木の中を抉って水をためている。樹木は水をすっかり吸い苔に覆われておりそれは注ぎ口も同じだ。いろいろ水場もあるがここも中々すてきだった。
傾斜の緩やかな道はしばらくして終わり次第に傾斜がきつくなってくる。2時間ほど登ると左手の方に、宝剣岳が望まれ以前はガスに覆われ全部は見えなかった千畳カールがよく見える。ずいぶん高いところにあるカールだ。考えてみるとカールは標高の高いところにあるようだ。
次第に私は二人に遅れ勝ちになる。年齢による体力低下とは考えたくない。ザックが重いことにする。Sさんが「先を歩きますか?」と先頭をゆずってくれるがスピードが落ちたのははっきりしている。水も重いががぶ飲みして減らすわけにもいかない。上には水がないのだ。つい荷物の中身を考え「何が重かったのか」と考えてしまう。Oさんのシュラフと比べると大きい3シーズン用のシュラフか、いらなかった銀マット、着替えが多すぎたか、軽いテーブルを2つ持ってきたのが余計だったか、ウイスキーを500CCも持ってこなくて良かったか、つまみを持って来すぎたか、虫除けスプレーか手の消毒用ジェルかなどと考えた。
先頭を歩くが徐々に遅くなる。分かっているがどうしようもない。「危険箇所はなく体力勝負の山」この言葉をかみしめる。徐々に徐々に高度をあげていく。
途中看板がある。「ここから先は岩場、痩せ尾根が続き滑落事故が多発しています。十分注意して下さい。」とある。いままでこのような看板を気にしたことはほとんどない。ただ今日は足に乳酸が溜まり、ザックが重い。心なしかすれ違う登山者のザックはコンパクトで我々のようなザックの登山者は見あたらないようだ。どうしてだ。30㍑もなさそうなザックの女性にSさんが聞いていたが「ザックがコンパクトですね。」「シュラフも入ってます。」の言葉、「本当に?!」驚く。私たちのザックは65㍑を標準としている。
岩場、痩せ尾根を越えていく。ここはすれ違うのが狭くて難しい。すれ違う人が「重そう。何㌔ですか?」と聞いてくる。「12㌔」私が応える。Sさん「15㌔全部酒です。」余裕だ。あながち嘘ではない。ワイン1瓶と500CCのウイスキーを後ほど確認した。
樹林帯を抜けて見晴らしのよい所に出る。はじめは50分歩いて休息だったのが40分で休息になりここらあたり以降では30分歩いて休息になっていた。足に溜まりきった乳酸が「もう登りたくない」と文句を言う。しかし視野が開けるのは実に気持ちが良い。
樹林帯を抜けて視野が広がった時私は「報われた!!」と思わず呟いた。苦しいところを抜けて一気に視野が広がるその時の、「報われた」気持ちの弾みが、登山を繰り返す動機付けの一つになっているのは私だけではないと思う。
360°山々に囲まれている。Oさんが次々に山々を同定していく、さすが人間ジャイロだ。
やっと小屋にたどり着き、18:30までに夕食を済ませること、19:30には消灯ということでまことに早く就寝した。下山路でのことはまた時間がありましたら申し述べます。
SリーダーOさん、まことに楽しい山をありがとうございました。身体を鍛え、ザックを軽くしまた同道させて下さい。良い山でしたね。