・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

苗場山 釜川ヤド沢 沢登り

2020/08/09(日)〜08/11(火)
報告者
本城
山域
上信越
ジャンル
沢登り
天候
晴れ 一時雨
行程

8月9日(日)
安原宅 11:20 = 松澤宅 12:00= 本城宅 12:20 = 17:00 釜川林道駐車スペース(泊)
8月10日(月)
前泊地 06:10~ 06:20 入渓点 ~ 06:25 取水口 ~ 07:55 二俣 ~ 09:10 CS2条5m滝下 ~ 10:55 長いトロ ~ 12:00 三ツ釜大滝下 ~ 12:30 三ツ釜大滝上 ~ 13:35 20m滝下 ~14:20 15m美滝下 ~ 15:45 30m滝下 ~ 16:45 8m滝下 ~ 17:40 50m大滝下 ~ 19:00 4段25m滝下 ~ 20:30 1230m幕営地(泊)
8月11日(火)
幕営地 10:00 ~ 11:40 釜川林道 ~ 13:40 釜川林道駐車スペース
※遡行図は「東北・上信越・日本アルプス 沢登り銘渓62選」を参照

報告

 昨年の同じ時期に恋の岐へ行ったメンバーと、今年も行ってきました。当初は東北和賀山塊のマンダノ沢を計画していましたが、どうやら天気が悪そうで、いくつか代替案を検討し、釜川ヤド沢へ落ち着きました。

 9日、17時頃に林道駐車スペースへ到着、他に車は無く、テントを広げて前夜祭。メインは会員Hさんオススメ青森十和田のご当地グルメばら焼き。たれはRさん手作り!おいしかった!
 夜は星も見えて、翌日の晴天を期待させる。

 明けて10日は、期待通りの天気。朝食を済ませて6時過ぎに出発、林道駐車スペースから踏み跡を辿り、釜川へ降り立つ。入渓点から少し行くと取水口に到着。(駐車スペースから直接取水口へ至る踏み跡もあったようだ)
 取水口から少し行くと、巨岩帯へ突入。大きな岩がゴロゴロ転がり、岩の間を縫って歩いたり、岩を超えて行くことになるが、ルートを選びながらとなり、なかなか体力を消耗する。
 二俣を右に進むと、最初の滝が出てくる。ここで後から上がってきた2人Pに先に行ってもらう。話をすると日帰りとのこと。
 2人Pと同じように、右側から、少しだけ泳いで取り付き、右の壁に沿って登る。残置ロープがあるがヌメっているので念のためロープを出して確保する。ただし、支点の残置ハーケンがグラついており信用ならない。またスペースが狭く非常にやりづらい。登った後の、滝の落口の方へのトラバースも滑りそうで怖かった。
 その後のCS2条5mは左岸から巻いて5m程度の懸垂で沢床へ下降。支点には木の根本の残置スリングを使用した。
 小滝を越えて行くと、長いトロが出てくる。青空で流れも穏やかになり癒されるところだ。このトロは左岸から泳ぎへつりながら抜けた。暑いので気持ちが良い!
 4mトイ状ナメ滝は右からへつって超えた。トイ状部分は両足つっぱりで行く人もいるようだが、水の勢いが強いので、跨ぐのには勇気がいる。
 トイ状ナメ滝を越えると大きなスラブ壁が見えてきた。唐突にナメのど真ん中に巨岩が現れる。巨岩の右側をかわしていくが、ここが地味に悪い。Nさんがハーケンで素早く支点を作って後続を確保した。
 正面に左岸の大きなスラブ壁を見ながら歩いていくと、三ツ釜の大滝が!ここが今回の一番の見所!きれいなスラブ滝を前にテンションが上がる!
 三ツ釜は登れないので、右のリッジを登るが、そこそこの斜度があり、ボロボロで怖い。灌木帯まで上がると、きれいなまん丸の釜と、今歩いてきた釜川本流がスラブ壁の間を流れているのがよく見える。とてもきれいだ。ヤド沢の向こう側には右俣(千倉沢)も見えている。今回はヤド沢へ。
 ヤド沢へ降り立ち、きれいなナメを少し行くとポッドホールのある堰堤状の滝が見えてきた。ここで小休止をとって、足元の装備を変更することに。
 今回三ツ釜までは、NさんとRさんはフェルト靴にラバーサンダルを装着、私はラバータビで来た。ここまではラバーがしっかりと効いて快適だった。ただしヤド沢はヌメるところがあるようなので、フェルトが有利なようだ。よって、NさんとRさんはフェルト靴で、私はラバータビにフェルトサンダルを装着してこの先を進む。ちなみにMリーダーは最後までラバー靴で登っていた。
 堰堤状の滝を左から登り、ナメ滝を過ぎると20m滝が現れた。ここは念のためロープを出して、Nさんがトップで右の水流脇を登る。途中で打ったハーケン1本と、灌木に中間支点をとって、上部で右方向に抜けていく。後続も確保されて続く。
 少し行くと、美滝と書かれる15m滝が出てくる。遠目から見ると水流が滝幅いっぱいに広がり、確かにきれいな滝だ。しかし近づいてみると斜度もきつく、明らかにヌメっていて、一見すると巻きかな?と思わせるが、Nさんがトップでトライ。空身で右の水流脇を、途中2箇所ハーケンを打って支点を取りながら慎重に登る。30mロープいっぱい使ってNさんが登りきった。(遡行図では15mの記載だが、もう少しあったのかもしれない)
 Mリーダー、Rさんと続いて、私も登る。ホールドや足場はあるが、見た目通りのヌメヌメでかなり緊張する。上部ではシャワーを浴びながら登りきった。私にとってはかなり痺れる登攀だった。
 その後もすぐに30m滝が現れる。両岸が切り立って囲まれていて迫力がある。ここは明らかに直登不可。手前左の流水溝のようなことろから登る。ここもNさんがトップで行く。私も確保してもらって登るが、最後の2歩、灌木に手が届くまでの僅かな距離だが、なかなか足が出ない。何とか意を決して踏み出して、灌木を掴んで登りきった。
 この時点で時刻は16時を回っているが、ここまでのところ幕営適地が無いので先を急ぐ。
 続く8m滝を右から巻く。その先5m滝は、遡行図では左からの巻きだが、8mとあわせて右から巻いた。かなりの高巻きとなり、踏み跡も分からず、途中雷雨にもあったが、50m大滝下近くに降り立つことが出来た。
 50m大滝は流石の迫力。大きな音を響かせて水が流れ落ちる。ただし時間は17時40分、見惚れている暇は無く、付近にテント場を確保出来ないが探す。残念ながら、4人分のスペースは無いようだ。Nさん曰く、50m 大滝とその後の4段の滝を越えた1230m付近に良い幕営地があるとのこと。検討の結果、1230mを目指すことに。(Nさんは2年前にヤド沢を遡行しておりその時も1230m適地で幕営したそう。)
 50m 大滝は左岸から大きく巻いた。灌木やササなど手掛かりはあるが、地面がぬかるんでいて足の踏ん張りが効かず、腕の力に頼って登る。途中から踏み跡も無くなったが、1時間以上かかって沢へ降り立つと、そこはちょうど4段25m滝の下。この滝を越えれば今日の寝床がある。ただし、辺りはもう暗くなってきている。滝に近づくと苔がびっしりと生えており、明らかに滑りそうだ。Nさんは以前この滝を登ったようだが、この状況では難しいと判断し、右側からの巻きを選択。
 暗い中ヘッデンを点けての巻きとなった。沢筋近く草付きの斜面は滑りそうなので、その上の潅木帯をかき分けて行く。なるべく沢筋から離れないように注意しながら進んだ。暗い中藪漕ぎをしながら、この状況でのビバークは嫌だなと考える。滑る斜面とササや灌木と格闘しながら進むと、リッジ状の地形となった。沢音も近く、支点となる木もあったので、懸垂で下降することにしたが、暗いので下降地点の様子が分からない。ここもNさんに先行偵察をお願いする。数m程下降したところで「河原だ!」との声。どうやら下降地点は安全らしい。Nさんに続いて降り立つと、ちょうど4段滝最上段の上だった。暗い中での高巻きを無事終えて安堵する。
 そこから幕営地まではすぐだった。右岸に広い場所があり、まさに最適の場所だ。皆疲れているが、すぐにタープ設営、薪集めを始める。遅くなっても焚火をやらずにはいられない。湿気た焚き木で必死に火を起こして、米を炊いて、料理を始める。本日の夕食もRさん特製サバ缶カレー!美味しいごはんとお酒で軽く宴会。朝からの行動で疲れてはいたが、結局24時頃まで火を囲んで、沢で過ごす夜を楽しんだ。
 翌朝、明るくなって目が覚めた。タープの下で横になった途端に眠り落ちてぐっすり寝てしまった。既にMリーダーが火を起こしている。この日は行動時間も短いため、朝の出発には余裕がある。米を炊いて朝食を摂ってから、10時頃に幕営地を発つ。
 途中、大きな釜で釣り師二人に遭遇した。ここまであまり魚影は見かけなかったが。源流部の小松原湿原に近づいてきて川の流れがうねうねと曲がりだし、終了点である釜川林道(小松原林道?)へ出た。川と林道の交差は土管。
 林道へ上がり沢装備を解除して、林道を下山する。晴れて暑い日差しのなか、今回の山行を振り返りながら歩き、14時前に林道ゲートへ無事下山した。

 今回のヤド沢山行は充実したものでした。特に滝の登攀は登り応えがあり、こういう滝をトップで行けるようになりたいと強く思います。ただし、やはり一日目の暗くなってからの行動については大きな反省点です。幸い何事もなかったものの、本来であれば行動すべきではなかったかもしれません。計画段階からの問題もあるかもしれませんが、どういった選択をすべきだったか、振り返って考えてみます。
 それでもやはり夏の沢は最高です!今シーズンもまだまだ楽しみたいと思います。

いざ出発!
最初の滝
CS2条5m滝を巻いた後の懸垂下降
長いトロ へつって行きます
暑く水温もそれほど低くないので気持ち良い!
水量もそこそこあるようです
三ツ釜の滝!
三ツ釜大滝巻き中に振り返る
きれいな丸い釜
美滝15m
美滝15m Nさんがトップで
美滝15m なかなか痺れる登攀でした
30m滝
巻き中に見えた50m大滝
2日目 気持ちが良い
林道にて お疲れ様でした!