大峯奥駈
6:00金峯神社-9:00足摺宿-11:00大天井茶屋跡-11:30大天井ヶ岳-12:30五番関
N***誌の取材で、聖護院・醍醐寺三宝院と並ぶ修験道3本山の1つ、奈良・吉野の金峯山寺を訪れた。今回の目的は、金峯山寺が主催する奥駈体験修行への参加。
百日回峰行を満行した回峰行者とともに、吉野の金峯神社から五番関の女人結界門までの奥駈道を歩く、という趣向である。
早朝6時に金峯神社を出発。行衣姿の人は少なかったが、金剛杖と白い地下足袋だけは身に付けなければならない。人生初の地下足袋とあって、最初は不安もあったが、足の裏全体のツボが刺激され、クセになりそうな気持ちよさ。
奥駈道には「靡」と呼ばれる行場があり、各所で勤行が行われる。錫杖と法螺貝の音をBGMに、先達の後について経文と真言を唱和。急坂の登りでは、「サーンゲ(懺悔)、サンゲ、六根清浄」という掛け念仏を唱え、息を整えながら先へと進む。
途中、青根ヶ峰や四寸岩山を経由するのかと思いきや、山頂は迂回して巻き道を進む。
「四寸岩山には行かないのですか」と先達に尋ねると、「修験道では山そのものをご神体として信仰するので、山頂は踏まないのが基本です」とのこと。
新茶屋跡、足摺宿、百丁を経て、大天井ヶ岳の頂に向かった。穏やかな稜線歩きの道もあれば、滑りやすい岩がちの道もある。奥駈道全体からみれば「序の口」なのだろうか、なかなかに気が抜けない。
山頂直下、祠のある開けた場所に出た。眼下には、金剛山地と奈良盆地・大阪平野の一大パノラマが広がる。古事記や日本書紀の舞台となった、まほろばの里である。
大天井茶屋跡の祠の前で勤行。大天井岳の山頂までは険しい岩場が続き、金剛杖でバランスをとりながら、慎重に登っていく。岩場で地下足袋はどうかと思ったが、しっかり足場をとらえれば問題はなさそうだ。
昼頃、予定通り標高1438mの大天井ヶ岳に到着した。
下山もなかなかの難路続きだったが、1時間ほどで五番関に到着。女人結界門の前で、最後の勤行を行った。
ここから先は女人禁制。さて、生きているうちに山上ヶ岳に登れますかどうか。
それは、大峯に鎮まる神仏の御心次第なのだろう。