白神岳~森吉山
7/13(土)<白神山>
白神岳登山口 8:00-二股分岐 8:40-二股 10:20-白神岳 13:30-蟶(マテ)山 16:00-二股分岐 18:00-白神岳登山口 18:30
7/14(日)<森吉山>
ヒバクラ岳登山口 5:00-山人平 8:50-森吉山 9:50(10:50)-山人平 11:50-ヒバクラ岳登山口 14:00
毎年恒例の「海の日山行」にお声がけいただき、今回初めて参加させていただくことになった。当初は森吉山(秋田)から白神岳(青森)に転戦する予定だったが、天気予報を見て計画を変更。東京から青森まで一気に北上し、白神岳から森吉山へと南下することになった。
【7/13(土)白神岳(青森)】
早朝、白神岳登山口に到着し、8時過ぎに登山を開始。
破線ルートの二股コース経由で山頂を目指し、マテ山コースに周回する計画である。
説明板によれば、二股コースは4.2km。別名、「白神山地自然観察歩道」ともいうらしい。
この二股コースが、なかなかの難路であった。
沢の渡渉ポイントでは、増水のため、足場となる岩の大半が水没。Sさんにお手本を示していただき、わずかな足がかりと丸太、ロープを伝って沢を渡る。筆者は渡渉中に丸太の上で足を滑らせ、あわや水没のピンチに見舞われたが、皆さんの助けで体勢を立て直し、無事、渡りきることができた。
ここから先は、急登に次ぐ急登。かつ密生した灌木に道をふさがれ、藪漕ぎの様相を深めていく。
鞭のようにしなる灌木に、頬やすねをしたたか打たれ、鋭い枝に目を突かれそうになった。ロープがなければ、道が判別できないほどの笹藪。満身創痍で、獣のように急斜面をよじ登っていく。
急登と藪漕ぎに体力を奪われ、やっとの思いで白神岳に登頂した。雨こそ降らなかったが、山頂はもやに包まれ、視界は真っ白。山頂標識の向こう側には、白神山地の核心部ともいえるブナ原生林の一大パノラマが広がっているはず。その雄大な風景を心眼で味わい、山頂の避難小屋に向かった。
帰りはマテ山コースに周回。整備された登山道を延々と下り、18時30分頃に下山。
下山まで10時間を要したのは、ひとえに筆者がブレーキとなったためだ。申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、SさんやMさん、Kさんは何度も温かく励ましてくださった。皆さんの寛大で優しい人柄に感激し、救われる思いがした。
余談だが、やはり連休中に白神岳に登ったという友人から、こんな話を聞いた。
登山口で道を管理する男性に出会い、「二股コースは平均斜度15度、藪漕ぎで、一部未整備」と聞かされ、マテ山コースのピストンを選択したとのこと。あらためて昭文社の「山と高原地図」を確認したところ、二股コースは「2019年5月~6月頃開通予定」との注記があった。
もしかすると、予定より開通が遅れているのかも・・・そう思い、深浦町役場に問い合わせてみると、「二股コースはすでに開通済み。自然のままの状態を維持し、今後も刈り払いを行う予定はありません」とのこと。
あぁ、だから、白神山地”自然観察”歩道なんですねぇ、と妙に納得してしまった。
【7/14(日)森吉山(秋田)】
前日のうちに青森から秋田に移動し、ヒバクラ登山口の駐車場で仮眠。朝3時台に起床し、5時にヒバクラ岳登山口を出発した。
鮮やかな朝焼けに心を躍らせ、気持ちのよいなだらかな道を行く。
前日の難行とは打って変わって、癒しの山行になるかと思いきや、ほどなくして想定外の事態が勃発。
山野草の写真を撮っていたまさにその時、「クマがいる・・・」と、Mさんが小声で呟いたのだ。
おそるおそる目をやると、30mほど先に、黒い大きな獣がいるのが見えた。ツキノワグマの成獣だ。
さすがは森吉山、阿仁マタギの猟場として鳴らしただけのことはある。
クマはこちらを一瞥すると、のっそりと登山道を横切り、藪の中へと消えた。
「クマだって人間が怖いんだよ。クマも馬鹿じゃないんだから」とSさん。しばらく様子を見てから、登山道を直進し、さらに先へと進む。
ヒバクラ岳を左に見ながら、急な木の階段を登ると、開けた場所に出た。
木道の両側にはニッコウキスゲが咲き誇り、朝露を散りばめたチングルマの綿帽子がきらきら光っている。北に連なる稜線の上には、名峰・岩木山。あまりの気持ちよさに、人気のない木道に座り込んで、しばし休憩をとった。
前方には、森吉山がなだらかな山容を見せている。かつて巨人が棲んでいたといわれる山人平(やまひとだいら)にはお花畑が広がり、イワカガミやハクサンシャクナゲ、アカモノ、ベニバナイチゴ、ハクサンチドリ、タニウツギ、ショウジョウバカマ、マイヅルソウ、カラクサソウなど、百花繚乱の趣であった。
「花の百名山」を満喫しながら、巨岩が露出する山頂に到着。晴天とはいえ雲が多く、360度の大展望とはいかなかったが、山頂からは八甲田山、乳頭山や日本海を一望することができた。
山頂には数体の石仏があり、山岳信仰の跡をとどめている。
無数のトンボの群れを縫うように、3頭の揚羽蝶がひらひらと舞った。
昨日の試練がウソのような、うららかな晴天山行。
下山後、大館市の「大葛(おおくぞ)温泉」で汗を流し、鹿角市内で無事下山の祝杯を上げた。