・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

景信山~堂所山

2019/05/28(火)
報告者
小堀
山域
奥高尾
ジャンル
ハイキング
天候
くもり時々小雨
行程

高尾駅0912・・(京王バス)・・日影バス停0923/0930=(東尾根)=日影バス停9:30-景信山11:30/12:20==堂所山13:30=(山下屋ルート)=山下屋@陣馬高原下15:00

報告

 今回はSGさんにお誘いいただき、奥高尾のバリエーションルートを歩くことになった。
 景信山の東尾根を登り、堂所山を経由して、陣馬高原下の「山下屋」に直行するルートである。自信は全くないが、これも勉強と思い、ご一緒させていただく。
 高尾山北口から小仏行きのバスに乗り、日影バス停で下車。車道を歩き始めると、海を渡る蝶・アサギマダラに遭遇。幸先よし。

 登り口からは側溝沿いの踏み跡をたどり、急登を行く。
「等高線の間隔がそんなに詰まっていないように見えても、実際にはこれぐらい傾斜がある。その感覚を覚えておくといいよ」とSGさん。さっそく、地図読みの初歩を教えていただく。
 標高470m地点からは等高線沿いのなだらかな道が続き、植生が変わって藪めいた雰囲気に。しっかりした踏み跡をたどり、しばらく歩くと登山道に合流。階段を上って景信山山頂に着いた。

 ここで軽めのランチ休憩をとる。SGさんに山コーヒーをご馳走していただき、カフェインを補給。山、仕事、宗教・・・話は尽きず、気が付いたら出発予定時間を大幅にオーバーしていた。

 景信山から堂所山までは登山道を歩き、堂所山からは踏み跡をたどって進む。
 通称「山下屋ルート」。1分1秒でも早く、山下屋で一杯やりたい先人が開拓した「近道」である。
 とはいえ、山下屋ルートはその名に似合わず、なかなか歯ごたえのある道だった。ここで、私はバリエーションルートの何たるかを知ることとなる。

 山下屋へ行くには、関場峠に向かう登山道から左に下る尾根道を見つけなければならない。道は細く傾斜を増し、みるみる標高を下げていく。しばらく下ったところで、「この道はちがうかもしれない」と、SGさん。地形図の等高線のつまり具合からして、探している道は、「これほどの急坂であるはずがない」とのこと。登り返して開けた場所まで戻り、最初からやり直す。
 地形図を読むと、道の左側に山下屋への分岐があるはずだが、それらしい分岐は見当たらず。SGさんは地形図とコンパスでそれと思しき尾根を見定め、斜面の中に踏み跡を見つけ出した。私1人ならまず見分けることはできないほど、その痕跡はかすかである。道なき道を見分けるベテランの目の鋭さに、いたく感動した。
 そのまま斜面をしばらく下ると、立木に巻かれた赤いテープと、「山下屋ルート」と書かれた手作りの標識を発見。「よかった。この道で正しいんですね」。ホッとした。

 だが、この日最大の山場は、この後に控えていた。
 その尾根からは、左折して山下屋に直行する計画である。だが、その左折ポイントがよくわからない。斜面は木が伐採されて見通しがよく、伐られた木が地面に並べられて、一見、道のように見えなくもない。試しに斜面を下ってみるが、踏み跡らしきものは見当たらない。トラバースはフカフカで、一足ごとに地面がボロボロと崩れていく。
 一瞬、作業道らしきものに合流したが、その踏み跡もやがてなくなった。
 山下屋はもう目の前。でも、このまま下って崖にでも突き当たったら、また、この急斜面を登り返さなければならない。
 あぁ、今日のビールは、なんて遠いんだろう。
 のどの渇きを覚えた。

 不安に駆られつつ急斜面を下っていくと、SGさんが涸れ沢の向こうに道を見つけた。涸れ沢を渡って向こう岸に渡り、道を下ると山下屋の前に出た。
「最後の分岐点、もう少し下りてから左に入るべきだった。うまい蕎麦がちらついて判断を急いだのかも」とSGさん。
 登山客でにぎわう山下屋で、無事下山の祝杯をあげた。そのビールの旨かったこと。
 〆蕎麦は、山下屋自慢の十割蕎麦。茨城県日立市産の蕎麦を使った、コシがある生粉打ちの蕎麦を、そばつゆとゴマだれ、塩でいただく。
 あぁ、なんという贅沢。

 かくして、奥高尾のバリエーションルート歩きは、至福のうちに幕を閉じた。
 SGさん、実に学びの多い山歩きでした。何から何までご指導賜り、ありがとうございました。

木下沢梅林からの急登
景信山山頂にて
登山道を経由して堂所山へ
試行錯誤の末、かすかな踏み跡を発見
「山下屋ルート」の標識を見つけ、ひと安心
道を探して踏み跡のないトラバースへ
ゴール地点の山下屋にて祝杯