・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

阿弥陀岳南稜

2018/04/08(日)
報告者
浅井
山域
八ヶ岳
ジャンル
雪稜登攀
天候
曇り時々雪
行程

舟山十字路5:00~旭小屋5:55~稜線6:20~立場山7:35~青ナギ8:00~無名峰8:30~P3ルンゼ10:00~終了点10:50~阿弥陀岳頂上11:30~舟山十字路分岐(御小屋尾根)14:40~舟山十字路15:45

報告

3月25日に阿弥陀岳南稜のP3横ルンゼで7名が滑落、その内3名が亡くなった。
阿弥陀岳南稜は無雪期には4回訪れたが、積雪期は初めてである。
7日夜半からの降雪で舟山十字路には薄らと雪が積もっていた。旭小屋までの林道では3回川の横断があるが、いずれも水量が多く横断箇所を模索し時間を要した。
旭小屋でアイゼンを装着。稜線に向かっていきなりの急登。降雪直後なのでトレースは無い。稜線に立ってからも立場山まではグングンと登って行く。雪の為、立場山の頂上標識がわからずに通過。下り斜面になってようやく通過した事に気が付く。
青ナギを過ぎて尾根が急登になると無名峰に着く。ここからは目指す南稜上部のP3が見えてきた。気温が低く手が痛くなってきたので、厳冬期用のグローブに替える。細い雪稜を登りP2をトラバースすると眼前にP3が迫ってくる。
登攀するルンゼに向かって左に大きくトラバースする。ルンゼ取付き点までは氷結した急下降で危険なので、左側に下って灌木混じりの急斜面をトラバースする。灌木が切れて取付き点までのツルツルの雪壁が少々悪い感じだ。
取付き点にワイヤー支点があったのでそこでセルフビレーを取る。ザックからアイスバイルを取り出し、ダブルアックスの準備をする。気温が低く、降雪後なのでルンゼの雪壁の状態はたいへん良いようだ。打ち込んだアックスの利きがたいへん良好なので、ロープ不要と判断する。
快適に雪壁をダブルアックスで登攀する。ルンゼから草付きに代わった所から傾斜が増す。最後の垂直に近い雪壁をアックスを利かせて登り切れば核心部は終了だ。
その後のP4の岩棚のトラバースが少し悪い感じだった。右上に向かって岩場を登攀すると阿弥陀岳頂上に到達する。少し右側に寄りすぎたために最後は岩場を登った。
天候は終始曇りと小雪で時折瞬間的に日が差すが風が弱いので助かった。頂上からの展望は臨めなかった。
摩利支天の岩場を過ぎると御小屋尾根は急な下り斜面になる。急斜面はほとんど氷結状で手掛かりになるお助けロープが垂れ下がっているが、ロープを握っても滑るので使い物にならない。氷結状の箇所を避けながら徐々に下降していく。氷結化した箇所はアイゼンの刃が立たない。もしかしたらここが本日の核心部だったのかもしれない。
やっとの思いで樹林帯に入りホッとするが、なおも要所、要所急な斜面の下降が続き気が休まらない。傾斜が緩んだところで、今回初めてザックを降ろし休憩する。予定の時間を大幅に過ぎていたので、メールで緊急連絡先担当者に下山時間の遅れを伝える。
緩い登り斜面になると御小屋山に着く。ここから50m程行った所に舟山十字路の分岐が現れる。緩い斜面を雪で足がダンゴになるので何回もピッケルでたたいて落としながら下る。道幅が広くなると舟山十字路のゲートも近い。ゲート先には以前は無かった立派な駐車スペースが出来上がっていた。
今回の山行はGWの剱岳早月尾根のトレーニング山行である。先週権現岳から見た阿弥陀岳南稜は雪がなく魅力がなかったが、幸い適度の積雪に恵まれ、さらにトレースが皆無だったので快適な雪稜を満喫できた。しかし、無雪期に比べて歩行時間が2倍近くかかったので積雪期の阿弥陀岳南稜は侮れないと感じた。

川を渡る
旭小屋
青ナギ
無名峰手前の急斜面
無名峰から青ナギを臨む
P3へ続く雪稜
南稜を振り返る
P3直下
P3ルンゼを登攀する
阿弥陀岳山頂
阿弥陀岳山頂
舟山十字路分岐(御小屋尾根)
舟山十字路手前ゲート