足尾・松木沢アイスクライミング
1日目最終パーキング1110→クライミング地点1150→クライミング開始→終了→最終パーキング
2日目最終パーキング0840→クライミング地点1030(沢の下部)→クライミング開始→終了→最終パーキング1640
足尾鉱毒事件という悲しい過去を持つエリアでのクライミングだった。
足尾は江戸時代から銅の採掘がされていた。明治、足尾銅山で銅が増産されるようになると、山の樹木は銅を精錬する燃料として大量に伐採され(皇海山の頂上直下200mくらいまで伐採されたそうです)、さらに精錬所から出る鉱毒ガスおよび酸性雨により、山の木が枯れ禿げ山となった。1973年(昭和48年)までに足尾の銅は掘りつくされて閉山、公害は減少した。ただし、精錬所の操業は1980年代まで続き、鉱毒はその後も流されたとされる。
●1日目
銅親水公園パーキングから先は侵入禁止で、工事車両か緊急車両しかゲートを通過できない。本気でアイスやるクライマーはテント持参で奥に入るほうが時間を有効に使える(土曜日には工事車両の駐車スペースに一張りあり)。
進んで行くと、精錬所の廃墟がもの悲しげにたたずんでいる。山は一本の木も生えていない黒い岩稜だ。今まで見たどの山とも違う威圧感に圧倒される。廃村に追い込まれた人々の苦しみを想像せずにはいられず、重苦しい気持ちになる。山は泣いているようだった。
さて、クライミングである。沢をチェックしながら歩いて行くと、対岸に傾斜の少なそうな氷瀑を発見。今日の氷だ。徒渉して(これがなかなか厳しい)準備開始。回り込んでTRを張ることが出来そうにないので、リードで支点構築に行かざるを得ない。講師は山田くんにミッションを下す。2回目のアイスでリードはかなりのスピード出世だ。
雪を払いながら、慎重に登って行く。幸い傾斜は緩いので落ちる事はないだろう。それでも朝イチリードでスクリューを打ちながら登るのは緊張するはずだ。がんばれ!ビレイはまかせろ!森さんからはいいタイミングで指令が入る。滝の落ち口で支点を取れず(私が行ってみたらジャージャーだった)その先のF2?の壁でスクリュー2本で支点構築(その後松木が1本バックアップを足す)。時間が迫り、ひとり1本ずつのクライミングで終了。山田くんが回収後、回り込んで帰還。おお、いっぱしのクライマーだ。
●2日目
少々遅い起床。
今日はより沢を遡上してウメコバ沢を偵察に行くが、その間に良さげな氷瀑を発見し本日の氷とする(堰堤を越し沢が広くなり凍り始め。賽の河原状態になってからの右側。ウメコバは沢を右に廻り込んだ先)。
山田くんが60mロープ(重くてスミマセン)を持ってTRを構築に行くが、困難を極めたため敗退。今日も下から上がるしかない。ただし前半は傾斜が緩いため安心してリードできそうだ。
山田くんから、松木さん行きますか?と言われ、ありがたくお受けする。1本は練習で打ってあったのですぐにクリップ。しかしなんと2本目でスクリューを落としてしまい、本数が足らず、予定の手前で支点構築(森さんからはその上に上がれない?と指示でるがピンは1本しか打ててないので乗っ越せないとヤバい・・・)。傾斜は緩いがグローブで思うように作業が出来ず、下りて来たらふくらはぎはパンパンだった。2便目の小林さんが乗っ越してくれ、その先に支点構築、3便目で山田くんがバーティカルを2mほどクリアしてテラスまで上がり支点構築。共同作業でTRを張った。「ああ、良いルートが出来たんじゃない?」森さんからお褒めの言葉があった(今回は腰の調子が悪く登れずに悔しそうであった)。
ひとり2本ずつ登り、小林さん回収(ハードワークでしたね。ありがとう!)で終了。初リードで初支点構築もでき、充実したクライミングだった。できれば今年中に簡単なマルチができたら良い状態で来年に繋がると思う。
*忘却録*
・カラビナのゲートが凍る。ワイヤーゲートの方が凍りづらい。
・下に水が流れている場合、下手にその場所を踏むとジャージャー流れ出す事がある。その場合は水の逃げ道を作ってやると収まる場合がある。
・スクリューから氷が出ない場合は氷の下が空洞
・この日は寒波の最終日で寒かったが谷に入ると少し風が避けられた。
・徒渉にはストックがあるとラク
*森さんの印象*
とてもお茶目で魅力的なおじさまです。普通の人の10倍くらい濃い人生を歩んで来られている方でお話も面白いのですが、その体力に驚かされます。2日間の極寒のアイスクライミング講師(指導のみm(_ _)m)頭が下がります。次回は是非一緒に登りを楽しみたいです。
------雑感-------
沢も岩もアイスも同じ「クライミング」だ。クライミングで大事なのはお互いの力量を把握できているかどうか、それを信頼できるかどうか、だ。山田くんとは数回岩に行っただけだが、彼の成長には驚かされる。クライミング力があともうちょっとだけ付けば、小川山ガマルート・二子山中央稜くらいははつるべで登れるだろう。
力量がわからない不特定多数での沢などはスキルの高い指導者の元でのみ可能なのだ。事故を起こさず楽しむためには、「クライミングチーム」の中での「セルフレスキューも含めた濃いトレーニング」が必要なのではないかと考えさせられた。
Google写真置き場
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