今回のメンバーはMリーダーとHサブリーダーにSさんとHの4名。心強いメンバーだ、足を引っ張らないよう慎重に行こうと心を引き締める。
6:15妙義道の駅に到着、支度をして6:45妙義神社を出発する。
当初の予想よりも暖かい、衣類の調整をしながらゆっくりと進む、何しろ今日の行程は長い9時間の予定だ、最初で飛ばすと後がもたない。
大の字までは普通の登山道を歩き50分で到着する、大の看板がある岩の上から駐車場を見下ろし、今日登る妙義の迫力ある岩稜帯を見上げる。
ここからは20分で辻に到着する、辻は中間道と白雲山の別れ道、上級者コースの白雲山へと向かう。これからが本番だ、連続した鎖場が待ち受ける。
最初の鎖場では3人組の女子大生のうち1人が早くも苦戦している、山岳部の新人らしい。
待っている間、横にある大きな岩の洞窟の中の祠に手を合わせる。ここが奥の院、今日の安全を祈る。
先程の女子大生のうち1人は最初の鎖場を登れなかったため、我々パーティも無理しないようにすすめ、中間道へ引き返すことになった。
さて我がパーティは最初の鎖場を難なくクリアして40分で見晴の360度パノラマに到達した、喉と空腹を潤す。
この後は連続する鎖をクリアしながら、ビビリ岩、背ビレ岩を超えて大のぞきに到着した。下を大きく覗けるから大のぞき?登ったと思ったら今度は30メートルのキレットが待ち受ける。まだロープは出さないで鎖を手掛かりに降りる。ここまでは鎖はしっかりしており、整備されているのでそれほど危険は感じなかった。
ここから少し北側に巻く、この辺りが白雲山か、タルワキ沢コースへの分岐に出るが相馬山へと向かう、また登りだ。
ようやく今日の最高峰の相馬山1104mに登頂した。ピークからは八ヶ岳、遠くは北アルプスまで見渡せる、風もなく最高の天気だ。せっかくの眺望でもっとゆっくりしたかったが時間は10時半、スタートして4時間弱だが、まだ半分にもきていないため先を急ぐ。
国民宿舎への分岐を茨尾根に向かう、ようやく尾根だ、見晴らしの良い尾根を1時間以上歩くが、尾根とは言いながらも、パノラマ台など危険箇所がそこかしこに待ち受ける。
ホッキリの分岐には12時20分に到着した、中間道に降りるならここが最後か。
もちろん今日の最大の山場である鷹戻しに向かうが、そこまでも鎖のトラバースが連続する。だんだんと慣れてきたが気を緩めてはダメだ、落ちたら怪我ではすまない。MリーダーやHサブリーダーの指示に従ううちにセルフの取り方など少しずつできるようになってきた、メンバーに入れた幸運を噛み締める。
樹木の間から鷹戻しが見えてきた、そびえ立つ岩の壁、Sさん曰く、鷹も戻るはずだ、あっそれで鷹戻し?ようやく気づく。
鷹戻しの鎖場でMリーダーがロープを用意してトップで登り始める、我々は下で感心しながら見上げるが、高くてほぼ垂直。そうだ、リーダーが登ってる間にフリクションヒッチを復習しておかないと、本番で使うのは初めてだ。
Hサブリーダーより、もう少し綺麗に巻いてとアドバイスを受けつつ緊張して登る順番を待つ。色々な登山技術を実践で学び、忘れないようにしないと、と心に留める。
Sさんの次の3番手、やっとの事で鷹戻しをクリアして一安心、と思っていたら大間違い。
何回もピークに登っては懸垂下降を繰り返し、その度にロープの用意をしてもらい、本当に感謝です。
鷹戻しの後もなかなか厳しいコースで950m~1100mのアップダウンを3度4度と繰り返すなど何度も試練が続く。
中ノ岳のピークに着いた時はようやく下山できると、長く続いた緊張から解放され、しばらく下って暗くなる前に中ノ嶽神社にたどりつく。 1ヶ月の間に裏と表を経験させてもらえるなんて、夢のような妙義山行でした。企画してくださったMリーダー、色々と教えてくださったHサブリーダー、Sさんに感謝です。 ---------------------
●覚え書き
・ウエア
選択にかなり迷った。出だしは氷点下?と思える程の寒さだったので園芸用グローブが冷たくてはめられず、クライミンググローブでスタート。稜線までの登りで暑くなり衣類調整。しかし稜線に上がり北側の巻き道に入ると寒い。行程半ばのアップダウンでかなり汗をかいたが、風がなかったので汗冷えはほぼなかった。
松木→(上)薄手ウールアンダー+薄手フリース+ソフトシェル。予備にベスト。確保時はインシュレーションを羽織る。
(下)パンツは風を通しにくい薄手+中厚のスマートウールタイツ。ご参考まで。 ・ロープ
鷹戻しは30mいっぱいまで伸ばしFIX。簡易アッセンダー・フリクションノットでおふたりに上がってもらう(次回からスリングで伸ばさず直づけでお願いします)。トレーニングということで鷹戻しの後の25mルンゼは、懸垂下降(2ピッチ)で降りた。クライミングに自信のある方はどちらもロープなしで突破可能。初心者同伴の場合は要ロープ。精神的な安心感が全然違う。 ・道
妙義神社の階段を上がって行き、登山届けポストに届けを提出してからは右方向へ。あとはほぼ迷う事なく道標に導かれるまま進むことができる。鎖や梯子が付けられていてかなり整備されている印象。たまに踏み後を外す事はあっても直ぐに気づく。後半、え?ここ鎖無いんだ・・という箇所が1.2カ所出て来た記憶あり。 妙義は岩稜トレーニングには最適です。全行程縦走は時間がかり日没も心配ですので、前半・後半に分けて計画すると日帰りで岩稜縦走が楽しめます。 ・タクシー
中ノ岳神社からタクシーで妙義道の駅に戻るのに近隣のタクシー会社は2社(1社2台ぐらい)しかないので、(下山時刻がハッキリするならばですが)予約しておく方が安全です。
上信ハイヤー下仁田営業所(027-482-2429)、安中市のツバメタクシー(027-393-1181)。どちらも中ノ岳神社まで15~20分程度で来てくれます。今回は予約しなかったところ上信ハイヤーは出払っており、ツバメタクシーを使いました。距離は約8キロ、金額は3160円でした。なお、コルから中ノ岳神社近くまで降りてしまうと携帯の電波が不安定でした。