・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

針の木峠_蓮華_北葛_七倉_針の木古道_黒部湖

2017/08/19(土)〜08/21(月)
報告者
松木(データ&写真) 、 加藤真(本文)
山域
北アルプス
ジャンル
縦走
天候
晴れ/くもり(微風)
行程

■8月19日(1日目)
0944扇沢 - 1047大沢小屋1050 - 1450針ノ木峠(泊)

■8月20日(2日目)
05:00針ノ木峠 - 06:30 蓮華岳 0630 -11;45七倉岳1200 - 1215 船窪小屋12:30 - 13:15船窪乗越・船窪岳分岐付近15;00(泊)[10時間]

■8月21日(3日目)
05:00 1837m地点 - 08:00 南沢出合?(最後の橋) -0855平ノ渡場10;20(待ち時間)-10;40平ノ小屋10;45-15:00 ロッジくろよん - 15:45 黒部湖駅16:05トロリーバス[11時間]

報告

写真;https://goo.gl/photos/3qECPmPzvVmBrvCL8

台風が多かった今年の夏。計画から出発まで突貫工事すの様だったが、最後まで懸念していたお天気にはウソの様に恵まれた。夏の終わりを感じながら、人の少ない雪、鎖、徒渉etc…想像以上の長丁場を歩き切った3日間だった。ルーファイを問われる奥深い静かな山の中、あらゆる場面を歩きたい方は是非どうぞ!☆☆☆

8/19(土)調布5:30集合→扇沢P→大沢小屋→針の木雪渓→針の木小屋 テン泊
初日のお題は「針の木雪渓」と、心して歩き始める。登山口から大沢小屋までは樹林帯の中を歩く。途中、下山者に雪渓の様子を聞き、大沢小屋での簡易アイゼンレンタル不要と判断。雪の上にベンガラでしっかり道案内されているものの、いつの間にかアルバイトをしていることに気づき、軌道修正すること数回。特に危険個所等なかったが、短い丸太の橋が一か所有り、少々いやらしい。それよりも、ドデカイ山並の中、静かな雪渓の上にいる小さい自分を感じ、なんだかワクワクしていた。雪渓が終わると、スパッと左側が切れた細い岩陵帯に移る。鎖も出てきて、斜度も急になってくる。Oh、面白くなってきた、しかし、リュックが重い等と思っていると、先頭のU子さんの様子がおかしい。どうやら脚がつったらしい。U子さん曰く、去年も針の木でつって、針の木とは相性が悪い、とのこと。大丈夫、来年3度目の正直があるから、等と言ってたものの、「最後の水場」手前でかなり辛そう。ここで、横山さんの指示で先に私一人でテン場に行くことになる。(これが後で大失態を招くことに…)水を1L足して、ジグザクのザレ場を上がっていく。前の2パーティーを追い越さないように距離を保ちながら歩いていると、針の木小屋に着。テン場の手続きだけをして、私もやっと一息、目の前の明日行く山脈を眺めていたら、30分後にU子さんと横山さん到着。私がテン場確保をしていなかった事を知ると、横山さんが一喝!いつもは、話題豊富で冗談9割の横山さんに初めて怒られた。怒られた事に私もカチンと来たが、(逆切れってヤツですね)、すぐ様、山の基本の「き」さえも知らない自分を恥じ、一つ学んだ事を知った。そう、ここからが「夏合宿」の始まり。幸いにも、テン場は最後の一つのスペースを確保が出来、U子さんの脚も良くなり、U子さんのNice Fightをビールで乾杯。20時半消灯。

8/20(日)4時起床 5時15分発 テン場→蓮華岳→北葛岳→舟窪乗越→舟窪岳分岐→針ノ木谷「船窪岳登山口」 沢泊
2日目、本日も晴天也 この山行のメインイベント、お題盛り沢山の中日である。
蓮華岳迄の急登問題なし。問題有ったとしても、蓮華岳からの絶景を見れば、何処かへ吹き飛ぶ、素晴らしい眺め!!!雲海、連なる北、南アの山々、目の前に迫る剣、足元には朝露をしたためた可憐な花々、有名なコマクサの群生は終盤だったが、初めてチングルマの群生は美しい、と思った。改めて今日の行き先に目をやると、その長さ、アップダウンに他人事の様に思えてきた。さぁ、まずは「蓮華の大下り」から行きますか!小さな砂礫のジグザク下りにしばし無言、岩場をトラバースした後は、梯子と鎖の連続、最後の鎖場は一方通行で長め。リュックに振られない様慎重に、足の隙間から足場を確認、三点確保で下る。一旦、束の間の平坦で回りに色取り取りの花が咲いている道を過ぎると、北葛岳迄の急登が始まる。この先、舟窪岳分岐迄岩陵帯の細かいアップダウンが続く。憧れの舟窪小屋を背に今夜の幕営予定の針ノ木谷迄ラストスパートをかける。実はこの名も無い道が今回の山行で一番良かった。豊かな植生の中、終始風を感じながらの急下降だった。やっと針の木谷の「船窪岳登山口」に着いたが、幕営の為に、裸足で沢を横切る。つっ、冷たー!この夜は誰もいない沢の中、たき火好きのU子さんが奮闘して火を起こし、流水音をBGMに就寝。

8/21(月)3:30起床 空が薄明るくなり始めたと同時に歩行開始 幕営地→南沢出会→平らの渡場
→平の小屋→ロッジくろよん→黒部ダム→(トロリーバス)→扇沢P
最終課題は昨日舟窪小屋の方に教えて頂いた「徒渉9回」。全体の距離は長くてもアップダウンはそんなに無いから良いか、この考えは甘かった!
もう徒渉なんて呼べたものではない。ズバリ、川突っ切ります。濡れた岩から岩なんて怖くて飛べませんっ!ドボンする位なら最初から突っ込んじゃえ、と。荷物は全然軽くならないし、靴の中まで水が入って歩くたびに「キュウキュウ」音がするし。ザレ場のトラバースとキュウキュウ音を繰り返し、登山道に出る梯子を上ってやっと第一関門クリアか?平の渡しで舟を待つこと小一時間。舟を待つ山慣れしている先人が二人いた。(この日は山中で会ったのはこのお二人だけでした)対岸まで舟で5分とあったが、二年前からやりたかった平の渡し、束の間の遠足気分?、少し濁ったエメラルドクリーンの黒部湖に疲れが吹き飛んだ。「今度いつ来れるかわからない」等と言いながら、手入れの行き届いた平の小屋を拝見し、黒部湖沿いに北上、湖岸道を歩く。いやー、長いこと長いこと。危険な個所は一か所も無いが、梯子の多さに閉口。わずか5メートル先を直進できず、一旦梯子を下りてまた登る。しかし、こんな奥深いところに梯子を架けて下さった労力を思えば、文句を垂れている場合ではない。何しろ、エスケープルートも巻道も無く、ダムを目指すしかないのだから。それにしても、山も湖も大きい。
黒部ダムでは観光客と日本語以外の喧噪に圧倒されながら、ダム見学と悠長なことは言っていられず、トンネル途中からバスの切符売り場まで、まさかの走り!ひっ、膝ぁ~っ。

今回のルートは「秘境」のせいか」、内容のせいか、同行程をまた歩けるか甚だ疑問、だからこそ、今回歩き切れた事は大きい。リハビリ山行をフッ飛ばして、私史上、一番中身の濃い縦走だった。今後の指標にもなった。一人では実現できず、お二人には感謝、また、このお二人には怪我中のリハビリ山行にもお付き合い頂いた事を改めて感謝です。

雪渓はこの大きさ
峠に到着。夏山の景色が待っていた。本日はここで終了
翌朝、明るくなってから蓮華岳の急登を上がると・・・
チングルマやコマクサが出迎えてくれる癒しの丘。女子大喜び
これから向かう道_お花畑とは対照的
ザレ場(蓮華の大下り)を下ると岩稜帯。私たちとは逆方向に進む若者パーティ。
歩いて来た道。そろそろ七倉岳。アップダウンがキツくそして長かった・・・
憧れの船窪小屋に今宵のビールを買い出しに。針の木古道の徒渉は9回で靴履いたまま徒渉せよと、ご主人
船窪乗越からは尾根に乗るまで悪いトラバース道、尾根はフワフワで歩きやすい。
船窪出合いにて幕営
翌朝薄暗い中を裸足で徒渉。これは巻き道
何度目かの徒渉
平の渡しで出会ったたぶん関電の作業員の方々
侮れない黒部湖畔の道。トロッコ?
崩落個所や湖へ注ぐ沢を避けて道を作っているのでその度に上下、遠回り・・・