・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

称名から奥大日ピストン

2017/05/20(土)〜05/22(月)
報告者
濱邊
山域
立山
ジャンル
残雪期雪山
天候
晴れ
行程

5/20 12:35称名滝P→14:25猿が馬場→牛首→17:00大日平
5/21 04:30大日平→07:00大日小屋→中大日→七福園→10:20奥大日岳→13:50大日小屋→大日平13:50
5/22 06:00大日平→7:00牛首→08:40大日岳登山口
 

報告

当初は雷鳥沢から奥大日を経て大日岳に向かうプランだったが、奥大日から先のトレースが期待できないため、称名滝から大日岳~奥大日をピストンすることにした。
H隊長、Yさん、Mさんベテランぞろいの中でメンバーの足を引っ張らないか少し不安。
DAY1
5/20 12:35 称名滝Pを出発する。パーキングから滝までの一般道は落石による未整備のためゲートが閉まったままだった。
我々パーティはゲートの少し先の大日岳登山口より登頂を開始した。
もちろん踏み跡は無く、H隊長をトップに今日のテント泊予定地の大日平まで向かう。
夏道は最初の30分だけで、すぐに残雪のトラバース地帯が待ち受ける。
気温は25度と雪はグズグズで足元が悪く滑りやすい。この後、残雪地帯の急斜面を何回もトラバースすることになる。滑落するとガレ場が待ち受けるので気が抜けない。
ピッケルを持つ手に力が入り、トップのつけてくれた踏み跡を頼りに進む、アイゼンはまだ履かない。買い足した500ml缶のビール2本と酎ハイの重さに少し後悔するがH隊長のザックには6缶が入っているらしい。
出発して1時間50分、14:25に猿ケ馬場のベンチで休憩する。
この先の牛首までは急坂が待ち受け、雪壁の直登となる。先輩方のアドバイスを受けながら重いテント装備で急な雪壁を必死によじ登る。キックステップ、習ったはずだけど雪の状態や荷物、急角度、今までとはかなり状況が異なる。
既に登りきった先輩達を尻目に上だけを向いてなんとか雪壁を超える。
牛首で一本入れて木道から大日平手前の小ピークを目指すが道がわかりにくい。
その後、何度か雪壁をトラバースして16:20にようやく木道を抜けた、ほっとする。わかりにくいため平原に出たところにYさんがテープで目印をつける。登る途中で遠く谷を下る1人とすれちがうが、何処から来たのだろうか?大日方面かな?
予定タイムより1時間多く要したがここまでくればもう一息だ。17:00にようやく大日平に到着、小屋より手前の雪の平原にテントを設営する。
立山をバックにして正面は富山市街、右手には大日岳、左手には鍬崎山と贅沢すぎる景色を眺めながら担ぎ上げたビールで喉を潤してから夕食をとる。
気温は高く、テントの外での夕食となった、この季節だけの贅沢な過ごし方である、テント前に雪のテーブルと椅子を作り、ゆっくりと過ごした。
既に日が落ちて来たため、19時を回ったところで寝る準備をしてシュラフにくるまってその日は寝ることに。

DAY2
5/21 朝3:00 に起床し、支度をしてから大日平のテント場を04:30に出発した。
雪原を大日平小屋方面に歩き、大日小屋に突き上げる長い長い雪渓の下部に5時に到着した。
ここでアイゼンを装着し、直登して大日小屋を目指すことになる。
天気は快晴で風もなさそうだ、頂上での景色が期待大。休むことも忘れ、ただひたすら登ること2時間、ようやく大日小屋にたどり着いた。時刻は7:00でほぼ予定通り。
小屋の向こう側には劔岳が目の前にそびえる、晴れ渡り北アルプスの全ての山々が見渡せる。絶景が心にしみる。
小屋の前で一休みした後、大日岳には向かわず、奥大日を目指す。
中大日岳のピークまではほんの少し、七福園までは山の名前を確認しながら写真を撮りながらのんびりと残雪を楽しむ。
ところが七福園を超えたところで状況は一変。まずは我々の度胸を試すようにリッジが出現、もちろん踏み跡はない。30メートルほど慎重に進んだところでストップする。
リッジの真ん中まで進むが、ここからは滑りやすい下りのリッジ。両サイドが谷に切れ込んだナイフリッジの真上で足がすくむ。
H隊長とYさんはザイルを準備し、皆の安全を確保して一人ずつリッジを渡る。
ようやく渡りきっても次は垂直の下り、岩の隙間に空洞があり、トラバースするにも危険なため、再度ザイルを出して下降する。
ここから先もアップダウンを繰り返し、次の小ピークにようやく9:10にたどり着いた。
ところが安心したのも束の間、奥大日はまだ先にピークが待ち受ける、ここから3つ目のピークがようやく目的の奥大日らしい。
ナイフリッジはあと3つ?もう十分だと心の中でつぶやきながらも、行く気十分のメンバーに促されて写真を撮る余裕もないまま、奥大日へと踏み出す。
H隊長は踏み抜きと雪庇を避けつつ、2番手のMさんは度胸満点で淡々と、その後ろを自分はMさんの踏み跡だけをなぞるように恐々と進む、しんがりのYさんは全体の状況を判断しながら的確な指示を出してくれる、頼もしい。
黙々とひたすら奥大日を目指す。時間は短いけど長く感じる、1時間10分を要してようやく奥大日岳にたどり着く、時刻は10:20だった。
奥大日岳の山頂ではビールで乾杯を、などと軽口をたたいていたが、もう一度同じリッジを戻るのかと思うとビールどころか食べ物さえ喉を通らない。
先輩方は慣れだ、と言ったが、その時は全く同感できないぐらい消耗した。
H隊長が後から話したところによるとYさんがいなければ多分引き返していただろうと>_< さて奥大日からの帰りは一度経験したとはいえ、全く気が抜けないリッジがリプレイのように待ち受ける、ザイルこそ出さなかったものの、とにかく慎重に進んだ。快晴で風がなかったのが幸いだった。 その後は順調に進み、13:50に大日小屋にようやくたどり着き、やっと笑顔がこぼれ出す。急激にお腹も空いてきた、今ならばビールが飲みたい。 大日岳のピークは小屋から20分ほどのところだか、さすがに疲れ、早くテントでビールを飲みたい気持ちが勝り、ピークは諦めて下山することとした。 下りはとにかく早い、登りは2時間半かかったが、下りは尻セードやスキーのように(降りながら教えてもらったばかり)両足を交互に滑らせながら下るなどして、ほんの30分程で大日岳の取り付きまで降りた。 テント方向ではなく、大日平小屋に一旦寄って、裏手の滝を見た後でテントに戻った。 14:00に到着した、荷物を解くのももどかしくビールで乾杯する。 H隊長の6缶が威力を発揮し、思う存分に飲めた。自分も追加ビールをで担いでよかった。 そこからは宴会のスタート。夕食までは今日の振り返りなどで盛り上がりながら、持ってきたアルコールをほとんど空にしてそのまま夕食になだれ込み。 夕食はH隊長のペミカンカレー、香辛料とカレーの匂いが食欲をそそる。疲れも吹き飛ぶ。 H隊長、Mさん、Yさんと自分の4人で思う存分、一日を振り返り、独り占めの雪原での宴会を堪能した! DAY3 朝4:00に起床し、テントをたたんで撤収した。帰りも足元が悪く、慎重にすすんだ。 牛首には7:00、登山口には8:40に到着した。温泉にはまだ時間があるため、天然記念物、日本三大瀑布の称名滝を見学して帰ることとした。巨大な滝のしぶきを浴びながら自然の偉大さを感じた。 温泉で疲れを癒し、450kmの帰路についた。 今まで経験したことの無い、決して忘れられい充実した山行でした、メンバーの皆さん本当にありがとうございました。

大日岳登山口から出発
快晴の中大日平にむけて
大日平でテント設営
早朝、大日岳に向かう
大日岳への急登
大日小屋から大日岳を望む
奥大日に向かう
雄大
厳しいリッジが待つ
ナイフリッジ1
ナイフリッジ2
奥大日山頂にて1
奥大日山頂にて2
眺める山々
お花もきれいでした
称名滝がゴール