・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

雪崩講習

2017/01/28(土)
報告者
瀬川
山域
谷川岳ドライブイン横
ジャンル
冬山レスキュー講習
天候
曇り/晴れ
行程

8:30~16:00 谷川岳ドライブイン横の線路沿い空き地にて、下記の内容を実践

報告

(1)オリエンテーション

(2)アバランチトランシーバー(AT)のテスト
 目的:出発前のアバランチトランシーバー(AT)のテスト方法を実習。

(3)弱層テスト
 目的:雪崩の原因となる弱層をテストする方法を実践。

(4)プロービング
 目的:プローブの使い方と2点プローブによる捜索を実習。

(5)アバランチトランシーバー使用方法
 目的:アバランチトランシーバーの特性を理解して操作方法を実習。

(6)埋没体験
 目的:雪崩で埋没した時の状況を体験するとともに、プローブが人体にヒットした時の感触を体得。

(7)掘り出し方法
 目的:合理的な掘り出し方法(V字コンベアベルト・メソッド)を実践して掘り出しに時間がかかることを体験。

(8)掘出し後の処置
 目的:掘り出し後の低体温症への対応を実習。

(9)雪崩事故想定シミュレーション
 目的:雪崩事故を想定したシミュレーションを行い組織的なレスキューを実践。

(10)スノーマウントの作成
 目的:救助が来るまでのシェルター作りを体験。

(11)質疑応答

※講習内容と詳細な講習マニュアルを入手し、「会員の部屋・WebFile」にアップしました。お役立てください。

弱層ハンドテスト。直径30センチ、高さ70センチの円柱を掘り出す。まず手首(危険)で、次は肘(やや危険)で、さらに肩(ほぼ安全)で、そして腰(安全)で円柱を引っ張る。弱層があるとするっと円柱が滑る。弱層の強度も測れる。
よーいドンで50メートル先の埋没地点へ走るAチーム。アバランチトランシーバー(AT、ビーコン)とプローブを手に。50メール離れてもATの最新機種は遭難者の電波をキャッチした。走れー!
15分が生還の境目。急いで掘り出せ!
今度はBチームの番。若い人はさすがに速い。オジサンも頑張って走る。
アバランチトランシーバー(AT、ビーコン)で埋没地点を探る。近くなったらクロスサーチ(縦横に動かして場所を絞る)。これがとても有効。ATの発信感覚は1秒前後だから速く動かしすぎるのはダメ。
埋没地点を特定したら組織的なプローブで人体(講習では15リットル大のザック)を探索。これも予想以上にヒットする。
全員が埋没体験。雪の下は本当に身動きができない。捜索者の声は聞こえるが逆に埋没者の声は地上ではほとんど聞こえない。プローブで突かれる体験。まったく痛くない。だから遠慮せずに突いてよい。
一列横隊になって突く。2点プローブすなわち右足前、左足前、40センチ進んでそれを繰り返す。つまり40センチ・マトリクスで探索する。掛け声に合わせて。
斜面での有効な掘り出し方。闇雲に掘るのは非効率。合理的なV字コンベアベルト・メソッドを体験。先頭を頂点にV字になってバケツリレー的に雪を掻き出すのが有効。これは本当に速い。先頭はとにかく掘る、2番手はその雪を下に放り投げて手が空いたら周辺を掘る、3番手、4番手は雪を下に移す。一定時間で時計回りにローテーションする。
掘り出した被害者をヒューマンチェーンによって搬送。掘り出す際、近くに寝かせるスペースも作っておく。
雪崩事故シミュレーション。通りがかった別パーティから埋没者2名の救助を要請される。2名ともATを所持してい場合は、ATで埋没地点を絞れるため救助に案外時間が掛からない。途中の遺留品から埋没地点のエリアを推定する(当てにならないことも)。
次は遭難者の1人がAT所持、もう1人が持っていない想定で救助を依頼されるシミュレーション。AT所持者はすぐに救助。一方、ATを持たない人との捜索は、デブリの末端からプロービングでえっちら探さざるを得ず、15分以内に救助するなんてとっても現実的でない事を実感した。
スノーマウントの作成訓練。救助を待つ間、雪洞が掘れる状況でなくてもスノーマウントでしのぐ。まず、ザックをツェルトで覆う。
そこに雪をかける。
そして風下から出入り口を掘り出す。内部を仕上げ。
研修を終えて。まだ日の当たる白毛門をバックに。中央2名がお世話になった都岳連の講師。お疲れ様でした。