一之瀬川3つの沢
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奥多摩湖の奥、秩父・丹波川の支流に一之瀬川があり、その一之瀬川には沢登り対象の顕著な沢が3つあります。上流から竜バミ谷、大常木谷、小常木谷です。ずいぶん前にバラバラに登ってはいますが、この7~8月に3本まとめて登ったので、比較がよくでき、今後の参考になるかもしれないと思い、ここに報告する次第です。いずれも日帰りで、メンバーは横山+αです。
(後日の修正/小常木谷は一之瀬川ではなく丹波川本流の支流でした)
7月2日(土) 竜バミ谷(横山+4人)
<調布6:00=8:20石楠花橋(P)8:45~(遡行)~12:30大常木林道13:00~15:00石楠花橋>
竜バミ谷は女性的なとてもきれいな沢で、文句なく楽しめる沢です。3つの沢の中でまず最初に登ることをお勧めします。ザイルを要するのは核心部と言われる「曲がり滝」(2段12m)だけですが、それも3級くらいです。一見難しそうに見えますが、とりつけばスタンス、ホールド十分です。終了点は大常木林道なので、沢の詰めのつらさがありません。二ノ瀬への下山は緩やかな楽な下りです。泳ぎはありません。リーダーの下に初心者でも楽しめます。
7月16日(土) 小常木谷(横山+2人)
<調布6:00=8:00余慶橋(P)8:40~(遡行)~13:00岩岳沢出合い~岩岳沢~15:30岩岳尾根上の道~17:00余慶橋>
小常木谷は思ったより登攀的要素が強い、男性的な沢でした。沢の前半は距離をどんどん稼げますが、真ん中あたりから登攀的になり、時間がどんどん過ぎていきます。大滝(2段20m)だったか、左岸を巻きましたが、踏み跡はなく、ザイルを要するかなり悪い巻きでした。不動の滝12mの登りもけっこう悪く感じましたが、残置シュリンゲがあり助かります。4級くらいのレベルです。僕らはネジレの滝(2段15m)の下についた時点で、かなり時間も遅くなったことからこの滝は高巻き、そのすぐ上流で左から入ってくる岩岳沢にエスケープしました。きちんと上流まで遡行するには前夜・現地泊でないと無理な気がします。
岩岳沢はエスケープルートとしては、結構しんどいルートでした。急なうえに、岩盤の上に泥が薄く乗っている箇所が多く、気が抜けません。仲間の一人が5mほど滑落し、顔に軽いケガをしました。これで小一時間ロスしています。下山に使う岩岳尾根の道は立派なものですが、余慶橋に下り立つ直前で、かなり大きな登り(100m?)があり、かったるい思いをします。もう一度沢靴を履き直す気力があれば、この登りが始まる手前、登山道が小常木谷を横切るところで小常木谷に入り、一之瀬川に出て余慶橋へと向かう方が楽な気がします。
8月14日(日) 大常木谷(横山+3人)
<調布6:00=8:00大常木谷出合い(P)8:15~(遡行)~12:00大常木谷林道~16:10二ノ瀬車道~17:00P>
3つの沢の中でスケール的には最も大きいと感じました。難しいというのではなく、谷が深く、両岸が切り立っており、ゴルジュも滝も多く、見事な沢です。しかもゴルジュのほとんどが通過でき、「千苦の滝」(25m)を除けば滝もほとんど登れますし、ザイルは不要と言っていいレベルです。千苦の滝は水流左を登れるようですが、それには三つ道具必携でしょうし、最初から登るつもりで臨まないと、滝を見てなかなか登る気は出てこないと思います。なお、左岸の巻き道は登山道のように立派です。
全般的にゴルジュの通過、ないし滝に取りつくため泳ぎを強いられます。「腹くらいで通過できる」などとガイドにあったナントカ淵も、しっかり泳がなければならない深さでした。でも距離はせいぜい5mほど。そんな泳ぎを4~5回はしたでしょうか。一つだけ、水中から這い上がれない4mくらいの滝があり、何度も挑戦したため、すっかり冷えあがり、あきらめた後は体の震えが止まりませんでした。巻きは超簡単です。この沢は盛夏にジャブジャブと楽しむのがふさわしいと思います。
ザイルは使用しませんでしたが、ルートガイドで「巻く」と書いてあるところもほとんど巻くことなく登れます。ただ、3級くらいの登りはちょこちょことありますので、初心者がいるときはザイルがいると思います。
終了は大常木林道なので楽ですが、そこから竜バミ谷遡行の終了点まで1時間半くらいかかり、さらに二ノ瀬まで2時間、さらに車道を大常木谷出合いまで歩かねばならず、下山には時間を要します。
個人的には3本の沢の中で、この大常木谷が一番楽しめた感じです。
以上ですが、竜バミ谷→大常木谷→小常木谷の順に体力的にも、技術的にも難しくなると思います。簡単に言うと、竜バミ谷はルンルン気分、大常木谷は水泳大会(岩魚も濃いみたい)、小常木谷は少々冒険的、と言うところでしょうか。でも3つとも、谷が深く、緑が濃く、岩盤がきれいで、丹沢の沢とは全く違う深山幽谷の趣を見せていて、僕は気に入っています。奥多摩の沢よりスケールが大きいのもうれしいことです。
以上です。