鷲羽岳
3日:稲田堤4:00-新穂高温泉8:30/9:00-わさび平小屋10:20/10:25-登山口11:00-秩父沢12:40-シシウドヶ原14:00-テント場14:30
4日:テント場8:00-鏡平山荘8:45-弓折岳10:10-双六小屋13:00
5日:双六小屋6:00-双六岳7:55-双六小屋9:00/10:00-弓折岳12:40-鏡平山荘13:30
6日:鏡平山荘5:05-シシウドヶ原6:20-秩父沢7:10-わさび平小屋7:55-新穂高温泉9:15
今年のGWは、北アルプスの鷲羽岳を目標に計画をたてた。その為、先月末に縦走トレーニングに行った甲斐あってか、重たい荷物の感覚が体に身に付いていた。
それにしても今回は、3泊、冬山装備、命の水(酒)をたんまり持って行った為、重量は一気に嵩む。
3日:前日まで、午後雨予報だったので“わさび平小屋”までの予定だったが、以外にも天気も良くまだまだ余力があったので、更に上を目指す。
秩父沢の辺りから雪が増え始める。かすかなトレースを辿りながら登っていくと、上から何人かの人が下山してくるので、“何処からですか?”と尋ねると皆“鏡平からです”と答える。足取りを早め上へ上へと登る。しかし、重たい荷物は時間が経つごとに肩に食い込んでくる。せめて大ノマ乗越か鏡平までと思ったが、途中で断念する。急斜面だった為、平坦地を探しビバークの準備をする。やっとの事でビール(500ml)と缶酎ハイ(500ml)を一本ずついただく。重たい荷物を背負ってきた分一層美味しく感じた。夜中から雨が降り始める。
4日:雨が止むのを待って8時出発。鏡平まではさほど時間を要しなかった。目の前には、弓折岳が高々とそびえ立って見える。トレースは、勿論付いていない。Aさん頼りに急斜面を登る。思わぬ藪こぎも所々続く。上から見下ろすと“こんな所降りられるのだろうか?”と不安が過る。山頂では、北アルプスの山々が一望出来、絶景。昨年の秋、北鎌尾根、槍ヶ岳~奥穂高岳、ジャンダルム、天狗のコルから泣きながらの下山が思い出された。
弓折岳から、幾つものアップダウンを繰返し、やっと遠くに双六小屋が見えた。“もう少しだ。”と思いきや、そこからが踏み抜き地獄が始まる。踏み抜きは、体力を一層消耗させる。小屋には13時着。弓折岳から約3時間かかった。
小屋付近は体が吹き飛ばされそうなほどの強風が吹き荒れている。テントを設営しようと試みたが断念。冬季小屋に行き、梯子を登って二階の小窓からやっとの事で荷物を中に入れホット一息。今夜はここで一泊する。16時を過ぎ、もう人は来ないかと思っていたが、17時頃一人、二人とやって来た。雪が降って来たとの事。外は吹雪になっていた。
5日:風は朝になってもゴーゴーと音を立てて一向に収まらず、外はガスで全く見えない。5時出発の予定を1時間ずらしても変わる気配も感じられない為、気合いを入れて出発する。トレースは、勿論付いていない。Aさんの経験と勘を頼りに、私も必死に付いていく。急斜面をトラバースする。一歩でも踏み外せば一気に滑落だ。ピッケルを握りしめ、何度か滑落停止のトレーニングした事を思いだしながら、一歩一歩慎重に進む。ようやく稜線沿いのルートを見つける。勿論、稜線沿いも物凄い風。何度も足をすくわれた。やっとの思いで双六岳に到着するが、その先はガスで視界がゼロ。これ以上は無理と判断し、足早に頂上を後にする。下山は、思ったよりあっという間だった。
冬季小屋で一息着き、荷物をまとめ、更に鏡平を目指す。
私にとって、今回の最難関は弓折岳の下りである。双六小屋からは、踏み抜きに気を付けながら歩くるも、かなり時間がかかった。弓折岳では、ほぼストレートにAさんのルート方向に従い、踵を強く踏み込んで下る。これも以前、雪上訓練で教えて頂いたので、恐怖感なく下る事が出来て良かった。後は北アルプスの山々を見ながらまったりと雪の感触を楽しみながら下る。この頃ようやく青空が見え始めてくる。
鏡平で、展望のよい場所にテントを設営し、槍・穂の絶景を見ながら残りの焼酎をいただいた。感無量だ。
6日:5時出発。雪の道はルート無き場所を、自由に下れる所が良い。途中、熊の足跡と見られるモノを発見。少しゾッとした。
後半はふきのとう、こごみ等山菜採りを楽しみながら下山をした。
今回の山行は、春の雪山でも、標高の高い場所では天候にもよるが、日々同じ場所でも全く違う姿を見せる自然の恐ろしさを感じた。そして、トレースが無い状況でも、的確に方向を判断しながら登り下りをする難しさを、改めて実感した。
そして、今まで経験出来なかった急斜面を整地するテントの設営方法、バリエーションも経験出来た。鷲羽岳の登頂は出来なかったが、とても充実した山行となった。
そして何より、素晴らしい北アルプスの絶景が見られたことは、いつまでも目に焼き付いて離れないだろう。又、いつの日か技量を身につけ、北鎌尾根~西穂高岳までの縦走…。挑戦できるチャンスが訪れるかなぁ…?と、ふと感じた。その時は、もっと楽しんで縦走したい。