西穂高岳・独標(ひとつ先のピークまで)
3/20 0400起床 0600西穂山荘_0730独標_次のピーク0806_独標0830_ライチョウと会った場所0940_西穂山荘たぶん1000までには着いていると思います
●写真置き場Googleフォト● https://goo.gl/photos/5F4ztzVDyd9Qwhko9
独標まではかなり風が強く、ストックでは難儀する場面も(松木だけ?)。丸山の先のナイフリッジを越えるとプチ岩稜帯があるのだが、ずっとストックのままだったので生きた心地がしなかった(^^;)。結局独標頂上のちょっと下(クサリの終了地点)までストックで行ってしまい、次回はナイフリッジを過ぎたら持ち替えるっ!と硬く心に誓った。
独標頂上。行く道は渋滞、帰る道は数珠つなぎ、でどんどん人が上がって来るので、頂上に乗り切らないほどに。あまりの混雑で時間が読めないということで、西穂は諦めたが、上記の理由で帰る事もままならず・・・
「どうせ帰れないなら少し先まで行ってみましょう。ただしロープは出しません。確実に丁寧に降りてください。」と師匠。最初の一歩は緊張するがあとは集中するだけだ。松木は一番の悪場である独標下りを越え次のピークまで行けた事で、西穂への希望が出来た。ちょっと嬉しい♪
ガイドはロープを出して降ろしていたが、印象的なのは「ガイドにロープで確保されて降りる人」と「ロープ無しで降りる人」の表情が全く違うということ。あっけらかんと降りて行く前者と顔を引きつらせる後者(自分も後者)。
さて、独標に登り返し、下りだ。ここは会山行で来る予定だった場所で、しかも何かあった時にロープを出さなければいけない場所でもある。支点は新しそうなペツルが打ってあり使えそうだったが、人が多くて現実には不可能だ(ガイドなら手際良くできるかもしれないが・・・)。「後ろ向き・雪面にフロントポイント・ピッケルのピックを使う」これが安定して出来ないと難しい。
雪面は途中で終わり、クサリが出て来て岩と雪のミックスになる。今回独標下りの一番悪かった箇所はクサリが終わった後のアイスの急斜面だ。その後のトラバースもあまり良くはない。ピッケルが刺さらない箇所、凍結してる箇所、バランスの悪い箇所、その悪場をどうこなすかがカギ。ある程度エイっ!という思い切りも必要だが、それは確実さに裏打ちされていることが絶対条件。ピックを岩に掛けてバランスを取る場合もあるのでその経験も必要だ。
松木の後から、ソロの女性が降りて来たのだが、これがアイゼンをズルズル滑らせて降りるのだ。「ひえ~やめて~!」と心の中で叫ぶ。そしてアイスの箇所で私の前のウーちゃんも少しゆっくりになり、私もゆっくりになるのだが、ソロの女性はおかまいなしに降りて来そうだ。さすがに「ちょ、ちょっとまってくださいねっ!」と止めた。当たり前だ。ここで滑落されたら一緒にあの世行きだ。
ナイフリッジを通過し、丸山に向かって乗鞍岳を眺めながらのハイキング。たのしーい!このときは風もなくなっていたので、のんびりとスナックタイムを取る。ライチョウ親子とも出会えた。
今回の山行は、阿弥陀南稜・厳冬期赤岳主稜登攀・富士山・アイスクライミング、雪山集大成だったと思う。風・寒さ・岩・氷・雪壁、全てを経験したからこその余裕も生まれて来た。つくづく雪山って「経験の積み重ね」なんだなあと感じる。初心者は一足飛びに「厳冬期西穂独標」を目指すのではなく、初級の山からステップアップを繰り返して余裕を持ってチャレンジして欲しいと思う。
-----感想-----
*ロープーウエイから西穂山荘までは霧雨状態でオーバー手もかなり濡れた。春の雪山は、撥水できるものは自宅で準備しなくてはと思った。替えのインナーグローブも忘れずに持ちたい。
*「厚手のダウン1枚」=「薄手の化繊ジャケ+薄手の化繊ベスト」な印象で、後者の方が応用が利きそうだなと感じた。
*フェイスマスクはウインドブロックのものを必ずハードシェルのポケットに入れているが、それとは別にスマートウールの薄手のものが使いやすい。風も通すが息も通すので息苦しくないし、なによりありがたいのはハナミズを吸収してくれる事!ハナミズに悩んでいる方はお試しあれ!
*アイゼンをズルズル滑らせている人も少なからずいた。怪我人も見た。上から人が滑って来て巻き込まれるという可能性を考慮すると、自分の技術がいっぱいいっぱいでは到底避ける事は出来ないと感じた。
*松木の共同装備分担はテントだったのだが、行きと帰りでは重さが違う!・・・初体験でした(^^;)
*平湯のおそば屋さん「よし本」のあっぽそばが美味しかった。うどんもある。薄口の上品なおつゆで、小さい揚げ餅がサクサクして美味でした。