阿弥陀岳南稜 冬季雪稜バリエーション
■12日(土)
・7:00北野駅北口~舟山十字路
・舟山十字路発9:35~阿弥陀岳登山口出合い10:31~立場岳11:00~
青ナギテント場13:50 幕営
■13日(日)
・6:17発~P1(7:10)~P2(7:30)~P3手前7:46
~青ナギ天場9:10~阿弥陀岳登山口11:07~舟山十字路11:37
八ヶ岳 阿弥陀南稜 冬期登攀 報告松木
阿弥陀南稜は初級冬季バリエーションルートで、テント泊装備を背負ったままのピーク越えとなる。私の体力技術力で果たして行けるのか?ヤマレコや雑誌の記事を何度も読んだ。核心はP3のガリー登攀のようだが、P3P4のトラバース画像にまずびびる。雪山に関してはベースを取ってのピークハントしか経験がないので、外付けのテントマットしか持ち合わせがない。その上シュラフは20年前の1400グラムの重量級だ。ヤバい。トラバースで落ちたらシャレにならん。一念発起での必要装備購入となった(涙)。
高速の車窓から見える黒々した八ヶ岳にメンバーのモチベーションは急降下。協議の結果水は持ち上げることにした。パーキングで驚いたのは渡邉さんのザック。なんと40liter!まずい。私の53literはぱんぱんだ。歩き出した時点で気温は3℃ほど。
林道を1時間ほど歩いたところで登山道に入る。尾根までは急登だが尾根に上がったあともそこそこの傾斜。黙々と歩く。リーダーの足取りはゆっくりだが確実で後ろを歩くと学ぶことがとても多い。標高を上げてからアイゼンを着けた。先は切れ落ちている箇所があるという事なので慎重に足を運ぶ。
青ナギ到着後、この先のP1とP2のコルでテントを張るか悩むが、本日の宿はここに決定。時刻はまだ13:30で天気も良くここで停滞することが恨めしかった。ただテン場は独占&素晴しいロケーションで、青ナギから望む阿弥陀岳の雄大さは息を飲むほどだ。早々に宴会となる。大西さん特製のペミカンカレーでシメ、明日の天気を祈って就寝。風の無い夜だった。
朝。残念ながら天気予報通り雪で辺り一面は薄っすら積もっている。そして恐ろしいほどの無風。気温は-1℃。支度を整え出発という段階でリーダーからのひと言。「この天気ではアタックせず引き返すことになるでしょう。ですので気楽にね。」
一歩一歩青ナギを行く。昨日とは違い雪上を歩ける幸せを噛み締める。急登に入る。ピッケルでバランスを取りながら集中して歩く。P1でひと息ついた。今日はどこまで行けるんだろう。渡邉さんも迷っている様子だ。P1を過ぎるとやせ尾根を歩くが左右を低い灌木に覆われているので恐怖心は無い。ただ足を滑らせると命取りなので確実なアイゼンワークに気を配らなければならない。その一歩も岩の上となりアイゼンが利きづらく手で岩を掴んで登るようになるとP2のピークだ。天気はというと雪は止み薄っすら青空も見え相変わらず無風。「ここで引き返しましょう。冬山は何よりもお天気が大事です」目の前にP3、手で掴めそうな距離に阿弥陀岳がある。安全マージンは広く取ったほうがいい事はわかっていても核心手前で引き返す決断は容易ではない。リーダーの苦渋の判断に後ろ髪を引かれる思いで青ナギへ戻る。ハーネスヘルメットなどクライミングギアを解除し元来た道を戻る。途中、大西さんのモンベルのアイゼンが破損し、こりゃあ返品だね~クレームガンバ!と雑談しつつ林道を歩きパーキングへ戻った。
p3の登攀はピッケルのシャフトを握ってピックを雪面に打ち付けるようだ。アイスクライミングの経験も少しは必要なのかも知れない。そしてテントを背負ってのピーク越えはさらなる軽量化が必要だと感じた。最初は黒々した八ヶ岳に気落ちしていたが、様々な新しい経験を積むことができ、有意義でそしてとてもエキサイティングな山行だった。
Googleフォトに写真をアップしましたのでご覧ください!少しは高度感を感じて頂けるかも。。