西穂高岳~奥穂高岳(その1)
9/19(土)
調布5:20-(中央道)-新穂高温泉-(新穂高ロープーウェー)-西穂高口11:35---西穂山荘12:55(泊)
9/20(日)
西穂山荘4:35 -- 西穂独標5:45/5:55--西穂高岳7:05/7:10--間ノ岳8:30--天狗岳9:20/9:25--天狗のコル10:10/10:20--コブ尾根ノ頭11:30/11:40--ジャンダルム12:00/12:15--奥穂高岳13:40--穂高岳山荘14:30(泊)
9/21(月)
穂高岳山荘6:10--白出沢出合9:40---駐車場11:50
来年はこの先を踏破しましょう!1年前のこと、大キレットの縦走を果たし、奥穂山頂でご来光を待ちながら、Hリーダーを中心とする4人が誓い合ったのが今回の計画でした。空が明け切らぬ中、ジャンダルムへ向かう勇敢なヘッデンの列を憧憬の念でもって眺めていたところ、リーダーがすっくと立ち上がってジャンダルムを指さし、来年は私たちよ!と叫んだのでした。残る3人がオーッと勇ましい賛同の声を上げたのは言うまでもありません。
まあ、少々脚色はありますがそのような次第で始まった山行計画、1年間の様々な準備を実践に移す日がやってきました。初日は西穂周辺にガスがかかったものの出発日以降は晴れるとの予報、西穂山荘では1人1枚の布団でたっぷり休養し、またとない好条件で難ルートに踏み出したのでした。
簡単なルート案内をすれば、水平距離では西穂山荘から穂高岳山荘まで6.4キロメートルに過ぎないが、それに10時間をかけるスペシャルな岩稜縦走となります。アップダウンが激しく累計で1600メートル登って1000メートル下り、しかも後半に挑戦者の心とカラダをへし折る急登と難所が待ち受ける。序盤からのペース配分が何より大事というわけで、さすがリーダーはゆっくり歩を進めます。独標の前後も思ったより気を遣う場所が多い。西穂山荘の管理人は夕食時にピラミッドピークの下、信州側のトラバースで滑落死亡事故が続いている点を強調していました。西穂までの2時間半で意識的に色々なウォーミングアップを済ませるべきだと思います。左手に7月に歩いた笠ヶ岳とそこから双六へ伸びる稜線を鑑賞し、笠から確認したこちらのギザギザな稜線を今歩いているのだと思うと嬉しく、西穂までまったく問題なく来ることができたことも気分を高揚させました。だが、リーダーの「恐いのはこれからだけど」のひと言に一瞬で緊張感を取り戻したのでした。
西穂まで来ると、足場の様相は一変します。独標あたりまでの風化しやすい花崗岩系の穏やかな登山道から、火山のマグマや噴火物の固まりがクラックした岩稜地帯へと、もう別物です。おそらく氷河で浸食された大小の険しいピークをいくつもたどり、これは探検、冒険の世界に足を踏み入れたのだとアタマを切り替えていきます。技術的な問題は、準備を積んだ四季のメンバーならクリアできると思いました。ただ、ガレている箇所と浮き石が多かったのは予想以上でした。落石はもちろん、自分の体重をかけようとするとホールド、ステップがずるっとはがれること多数。足場の石が一度ガラガラッと落ちたときは地獄への底板を踏み抜いた気分でした。ただ、そう感じるのはいつの間にか油断していたためと思い、その度にあらためて集中!集中!と自分に言い聞かせました。
ガラ場と岩屑の間ノ岳、逆層スラブの天狗岳などは事前の想像と大きく変わらず、注意すれば問題はありませんでしたが、いわゆる難所と難所をつなぐ何でもなさそうな箇所に多くのリスクが潜んでいると感じました。事前に聞いていた経験談から、あーここのことか、なるほどと思ったり、誰も言わなかったけどここは恐い、とブルっとしたりしながら登り降りを何度繰り返しただろうか。
それでも全ルートのほぼ半分を過ぎた天狗岳まで来ると、この先も踏破できそうだという自信が湧いてきました。リーダーの判断で朝の出発を30分ほど早め、コースタイムに遅れることもなく時間的に余裕のあったことも安心材料でした。ところが・・・(以下、続く)