・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

剣ケ峰山・軽井沢スキー合宿

2014/01/25(土)〜01/26(日)
報告者
瀬川
山域
北関東武尊山
ジャンル
山スキー
天候
曇り
行程

25日:
調布7:00~川場スキー場トップ11:30・・・剣ケ峰山13:00/13:10・・・鹿俣沢/登り返し14:30・・・奈女沢上部15:45・・・ゲレンデ下部着16:30
26日:
軽井沢プリンススキー場ほか15:30~調布19:00

報告

武尊山に連なるいくつかのピークのうち、地図上で最も西の端にあるのが剣ケ峰山だ。体験者のブログを読むと川場スキー場のトップから大体1時間で山頂に達している。今回は出発が予定より遅れたけれど、僕らもそんな見通しで大丈夫と臨んだ。「1,2本滑ってもまだ下から見えると思うよ。かっこよく登ってね」。皆の激励(?)に笑顔で手を振り出発。そうだ、見上げるような大岩壁の左斜面をかっこよく登り切ってやる。装備万端、体調万全。その時はまだ、あのような苛酷な運命が待ち受けていることを知るよしもない2人だった。

天候はまあまあ。雪は多少深い程度で弱層を心配するコンディションではない。リーダーは崖横をつつがなく登り切った。私はあと20メートルの急斜面に難渋した。キックターン時に上げたいスキーが深雪に取られ、すると軸足が滑り出す。何度も谷側に転んだ。結局板を手に持ちツボ足でなんとか切り抜けたが、すでに1時間が経過。山頂近くまでは東側の雪庇を警戒する以外は穏やかなハイクアップ。山スキーが雪山を移動する道具として優れていることを実感する。直下で板をデポし、ナイフリッジの尾根をひと登りして登頂だ。予定時間をオーバーしたものの達成感が勝り、堅い握手を交わす。

帰りは尾根を軽快に滑り、崖の右側を大きく回り込んでブッシュ帯を下降、リフト終点のすぐ上まで戻った。そのままスキー場に合流することはできたが、もう少し楽しみたくもあった。たまたま仮設テントのようなものを張っている男性と、ルートを確認するつもりで会話する。「鬼岩のコルを目指せ」「右に下りすぎるな」--曖昧な説明だがバリエーションだから仕方ないか。「雪崩れる所が2カ所あって昨年1人埋まった」--あまりいい気持ちはしない情報だが気をつけていこう。そして誰かのトレースを追いながら林に滑り込んでいった。

トレースは樹林帯の中をトラバース気味に下降しており、僕らも誘われるように後を追った。ところが鬼岩からだんだん離れ、どうする?引き返す?と顔を見合わせたが、登り返してルートを探すより、まあトレースを信じて行ってみようと進む。開けた斜面と樹林帯の繰り返し。周囲の尾根が高くなり、高度はどんどん下がる。午後になって冷え込んだためだろう、表面が固くて重い完全なモナカ雪だ。スキーが回らず、キックターンを強いられる。楽しめるコンディションではない。雪崩れも気になる。一カ所、沢を渡る所は恐かった。手前の縁から沢に下降し、一息で10メートル先の向こう岸に乗り上げなければならない。沢の両側は雪のひさしが今にも落ちそうに思えた。ようやく勇気を振り絞ってリーダーの後を追う。途中、下から登って来たらしい別のトレースを発見する。

リーダーがついに引き返すことを決めたのは、再び現れた沢の手前。向こう岸の斜面に大きなデブリの跡があり、その沢に降りて進むしかない場所だったそうだ。トレースもそこで終わっていたらしい。らしいというのは、私はその時30メートル後方にいたためで、リーダーが板に再びシールを付け始めたのを呆然と眺めていた。高く見上げるばかりの周囲の尾根。明るいうちに登り返せるのだろうか。それより月曜日、会議だし。暗い気持ちを振り払い、深呼吸してすべきことを考える。自分の足で戻るしかないんだもの。パンをかじり、ポカリスエットを飲み干す。そういえばなにも口に入れていなかった。急斜面を一歩一歩登り返す。一歩一歩に集中する。転んだら体力を消耗するだけだ。奈女沢の本来のルートに立ったときはホッとした。遠くにスキー場の施設が見えたからだ。冒険の後に帰還者が人工物を目にすると安心するという話は本当だと思った。45分後、ゲレンデに無事合流して握手をしっかりと交わす。

冷静に振り返ってみれば、いい経験をしたということなのだろう。バックカントリーはバリエーションなのだし、こういうことは想定の範囲内と考えるべきだろう。それよりリフトの一日券なんか買うんじゃなかった(笑)。だが、リーダーの言うように、一日券を使うより得難い経験だったし、ずっと楽しかったと思うことにしている。お疲れ様でした! 次回は本当に楽しむことにします。

ひと登りした稜線には雪庇が続き、急登が待ち構える
左手、西方向に見えるのは谷川岳?巻機山?
剣ケ峰山のピーク手前までは緩斜面の台地
登頂! 武尊山をバックに
もう一枚
切り立った山頂から慎重に下る
奈女沢ルートは正面、鬼岩の手前のコルから
軽井沢プリンス・スキー場トップで
もう一枚