夏合宿 槍ヶ岳 西鎌尾根(その3)
槍平へのガレ場をどんどん下降する。標高を下げるにつれ、お花畑が現れ、ハイマツ帯が始まり、ダケカンバの木陰へと入っていく。樹木帯に入ってからも大きな岩石がころがり、予想よりも歩きづらい。足をきちんと上げないと引っかかって転びそうになる。
突然、先導者が立ち止まった。大きな黒い固まりが登山道に堂々と鎮座している。熊のフンかも知れないと、2名があわてて鈴を取り出して鳴らしながら歩く(あとで槍平小屋で確認したところ、たしかに熊のモノであろうとのことだった)。先週、熊の被害者が出たと聞いていた。こんなご機嫌な山行の最後になって熊に会ってはかなわない。
槍平小屋は相部屋だった。それでも1人で1つのフトンを占有でき、我々はまたも幸運に恵まれた。缶ビールで乾杯しながら誰かの日頃の行いに感謝。南岳ルートのTさんは、往路でこの場所にテントを張っていた。夕食前のビール宴会はもちろん一緒に盛り上がった。
翌朝は6時出発。新穂高温泉までは沢とつかず離れず下る道で、思ったより手こずり、意外と遠く感じた。下界に近く、暑かったためでもあったかもしれない。新穂高温泉の泉質は硫黄臭が疲れを癒し、湯の華も舞って最高。道の駅に立ち寄ったりしながら、帰りも楽しいドライブだった。
東鎌ルートの混雑状況も付け加えておく。初日は登山口を結構なパーティ数が続々と入っていき、鏡平まで後続の若い数パーティに道を譲ったり、年配者を追い越したりしながら進んだ。鏡平を過ぎると我々が花や写真撮影を楽しみながら歩いたこともあり前後の人影はまばらに。翌日、双六から槍まではゆったり。槍方面から大学や高校のワンゲルと覚しき、20~30キロもあろうかというザックを背負ったいくつかの団体とすれ違ったくらい。全体的に静かな気持ちのよいルートだった。