・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

北アルプス 北鎌尾根(湯俣~槍ヶ岳)

2010/09/18(土)〜09/21(火)
報告者
吉田(貞)
山域
北アルプス
ジャンル
バリエーション
天候
晴れ~曇り~雨
行程

高瀬ダム~湯俣~水俣川~千天の出合~北鎌尾根P2~P5北鎌沢のコル~独標~北鎌平~槍ヶ岳~槍沢~上高地

報告

◆9/18(土)予定:高瀬ダム~湯俣
◇結果:予定通り
高瀬ダムまではタクシーを利用、そこから2時間ほど歩くと湯俣に着く、湯俣温泉晴嵐荘が管理するテン場で幕営、その後この山荘で入浴し明日に備える。備えとしては、水俣川の水量をチェックしに行く。水量はやや多い感があったが何とか渡れそうだった。
しかし、驚いたのは登山道が有って無いような悪路で、とにかく酷い。

◆9/19(日)予定:湯俣~水俣川~千天の出合~北鎌尾根P2~P5~北鎌沢のコル
◇結果:5時に出発するがP5まで行けず、P4で幕営(15:30着)
◇原因:湯俣~水俣川~千天の出合までの水量が想定より多かった事と、登山道が無い状    態及び、下記の出来事により時間ロスが発生。
(出来事)
・川の横断でバランスを崩し胸元まで水に浸かる(吉田)
・川の横断で3m程流されるが岸に捕まり助かる。(Aさん)
・沢登り用に用意した靴が壊れる(Aさん)
・足のすねを打撲し腫れて痛む(吉田)
・沢で巻き道を間違え藪を強行突破
・週遭難した人の捜索隊(2人組)に出会うが、他は誰とも会わず。

◆9/20(月)予定: 北鎌沢のコル~独標~北鎌平~槍ヶ岳~南岳
⇒予定変更:P4~北鎌沢のコル~槍ヶ岳
◇結果:雨天と下記出来事により、槍ヶ岳登頂が16時と大幅に遅れる。
◇原因:朝方から雨になり、出発時間が5時から8時過ぎと大幅に遅れた事と、下記の出来事により時間ロスが発生。
(出来事)
・槍ヶ岳取り付きでルートを間違える(30分のロス)
・到着時刻の遅延と雨のため、テント泊から小屋(槍ヶ岳山荘)に変更

◆9/21(火)予定:南岳~大キレット~北穂高岳~穂高岳山荘
⇒穂高岳山荘~大キレット~北穂高岳~穂高岳山荘(テント泊)に予定変更
◇結果:槍ヶ岳~槍沢~上高地に下山
◇原因:夜中から暴風雨になり、予定していた槍ヶ岳山荘6時出発も暴風雨が収まらないため、8時過ぎ下山を決意
(出来事)
・台風並みの暴風雨で最悪の天候
・メガネを掛けている私の視界は3~5m、裸眼のAさんは20m
・2日目の打撲部が腫れ上がり歩くと痛む

《湯俣~北鎌尾根~槍ヶ岳の状況と感想》
◆北鎌尾根前半部(湯俣~P2~P7)の状況
◇後半部(P8~P15)と比較すると難易度がかなり高い。
(理由)
・沢登りは、今まで経験してきたことない沢の横断が10回ぐらい入り、経験と横断
技術が必要、ストックは必需品(無いと渡れない)
・登山道は入山者が少ないことにより、踏み後も殆ど無いに等しい状態のため、ルートファンディングが非常に難易。
・滑りやすい難しいルンゼがある。

◆北鎌尾根後半部(P8~P15)の状況
◇前半部(湯俣~P2~P7)と比較すると難易度が低い。
(理由)
・登山道は一部の岩場を除き、はっきりしているためルートファンディングが容易。
・登山道は入山者が多いため、前半部と比較すると雲泥の差ほど歩き易すい。
岩場は2箇所(独標トラバース終了点、槍山頂直下上のチムニー横)難易な所が有り、ロープを出すほどでは無かったが、今回は雨ですべり易かったため、槍山頂直下上のチムニー横の岩場で1回使用した。

◆全体を振りかって
前半部(湯俣~P2~P7)は、”死の臭い” がするほど人を寄せ付けない荒涼な空気を感じる場所でした。またバリエーションだから当然ではあるが、沢では流されたら、道では迷ったら、ルンゼや岩場では滑落したらなど、心配や不安を抱えながらの山行でした。

スタート直後の沢横断は、深さが腰までの場所があり、流されないよう必死でした。それでも水流が強く渡りようの無い場所があり、Aさんが強行突破を行なたら3mほど流されてしまいました。それくらいこの沢は難しいところでした。ルートファンディングは、5年ほど前に登ったことがあるAさんが行い、判断ミスが2箇所あったものの全体的には的確な判断がなされ、時間的なロスは少なかった。ただ沢の水量が思ったより多かったことが誤算だった。

そんな中、13日から入山して同コースを辿った単独行者が行方不明のため、捜索に来た「佐久アッセントクラブ」の会員2名が後から笛を吹きながら遭難者を探しているグループに出逢った、その様は不気味な感じでした。

後半部(P8~P15)は、登山道がしっかりしていたので歩き易かった。一方、岩場は雨のため滑り易く、神経を使いながらの登攀となった。それでも、ガスっていて見えなかった槍ヶ岳の矛先が真下に来てやっと見え時は感動しました。そして頂上に着いた時は、今までの疲れと苦労が一瞬で吹き飛び、「やった!」と叫びAさんとガッチリ握手し抱き合い感激を味わいました。

また、この日は悪天候とも重なった事もあり、テント泊から小屋泊まりに変更して、ビールで乾杯~赤ワイン~白ワインでお互いに労苦を振り返り、消灯近くまで飲んでしまいました。
翌日ですが、上高地に下山した際、カッパ橋を渡った正面のお店で昼食を取りました。そこの食べ物はどれも美味しいようです。特に今回食べた、ピリ辛トマトカレー(900円)とコロッケ(300円)はお勧めです。

高瀬ダム
トンネルの入口(至湯俣へ)
標識
湯俣温泉晴嵐荘
標識
水俣川の水量確認へ
水俣川の水量確認へ
千天の出合
Aさんの靴壊れる
P3からP5、P6
P4~P6
P6
北鎌のコル
独標トラバース
北鎌平から槍
槍ヶ岳山頂