・1978年創設
・東京都山岳連盟所属
・例会毎月第1水曜日

連休 2日目:小蓮華谷敗退、金山沢へ転進

2010/04/30(金)
報告者
伊達定治
山域
白馬連山
ジャンル
山スキー
天候
小吹雪から強いブリザード
行程

5月連休 2日目(4/30日)小蓮華谷敗退、金山沢へ滑走

・猿倉山荘前駐車場からタクシーで栂池へ。
・栂池自然園を横断し船窪岳へ直登する。
・更に稜線伝いに小蓮華岳へ至る。
・ここから小蓮華沢を白馬大雪渓下部の猿倉台まで滑走。

報告

昨夜(4/29日)は猿倉山荘駐車場でテント泊。

今日は早朝に食事を済ませてテント撤収し、猿倉台地(登り小一時間)までテント、寝具、火器類を担ぎ上げ、
ここを、これから数日間のBC(ベースキャンプ)とするのだ。

熊は冬眠中とは言え、他の諸動物に 担ぎ上げた食料を奪取されては叶わない、臭い漏れ、開閉できないようガムテープで塞ぎ、雪中深く埋める。

今日、名古屋から駆けつける、KNチームへの目印の旗をテントへ括り付ける。

テント設営と今日の行動準備を済ませ一旦、猿倉山荘まで下る。
今日の滑走は、小蓮華谷である。
am8:00タクシーを呼び、栂池スキー場へと移動(タクシー代:5300円)20分程で着く。

もうスキー場は閉まっているが、GWに限ってゴンドラとロープウーイ(栂池パノラマウエイ乗車券 1720/片道)を稼動してくれるのでスキー場下から栂池ヒュッテまで1時間ほどで登ってこれるのは、ありがたい。

半没の栂池自然園ビジターセンターのトイレで用を済ませて、出発だが生憎、天候が思わしくない。

栂池自然園を横断し、船窪岳へ突き上げる最短コースを取る。
これは先の4/10日金山沢滑走時に小蓮華岳鞍部まで下見済みである。
小吹雪の中、自然園から金山沢源頭部へと進む、ここでスキーにアイゼンを装着し船窪岳への急登へ取り付くが、もうブリザード状態。
視界、10m程に強風を伴って吹き付けてくる小雪が頬に痛い、5m程先行してるAK氏のトレースが掻き消えてしまう。

寒風に体力を奪われ行くのが判る、船窪岳山頂まで10m程の処で左足が痙攣してくる ホイッスルで連絡するが
この急登では停滞はできない、ザックを降ろそうにも突風で谷へ吹落とされてしまう、騙し騙し稜線まで上るしかない
山頂直下の岩突まで辿り着いたが、右足まで痙攣し痛みで足が上がらない。
耐風姿勢を取り一息休む。

先行のAK氏は山頂へ2,3m程の雪庇(セッピ)へ突き上げようとしてるのが微かに見えるが、もう前進するのが辛い。

スキー板を外し歩行登頂が考えられるが、ブリザードの強風の中で45度の斜面で痛みを堪えて、それをしたら転落である。
しかし、ここで停滞は低温体となり危険だ、前進か後退の早期判断が必要と思う。

後方に居るはずのFT氏を探すと遥か下標高差15m程、ハイマツが微かに雪上に出てる所で留まりスキー板を外す作業を居ているようだ。

登っている時、そのハイマツには気付かなかったが?、幻想かな?。
ブリザードの隙間に垣間見えるFT氏の行動とその距離の確認を幾度か行ない、ハイマツの処まで退却を決める。
しかし履いているスキー板の方向転換が出来ず(降り積もった雪に埋もれ、板とシールが氷ついている)躊躇してると、突然後方をアイザイレン(お互いをザイルで確保しながらの行動)した2人の登山者が下降し、ハイマツの方向へ下っていくようである。

退却にはまず、後ずさりし今の登山者のツボ足跡へ向けてバックする。
ツボ足跡へスキー板をバランスよく渡しながら、一歩一歩と下る事とした。
スキーは滑走して下るにはとても都合の良い道具であるが、滑らさず一歩、一歩止めながら下るのには疲れる、幾度か休みながら緊張の下降をする。

ハイマツの出てる処で、FT氏は既にシールを剥がし滑走モード体制だ、私の無事着を確認する。
声賭けして、寒さに耐えられずにか?、直ぐに金山沢源頭部へと滑走して行った。
即ち、2人がこの処で留まるには狭すぎるのである、場所を譲ってくれたのである。

ハイマツを頼りに ザック、スキー板、クトウ、ストック等の落下防止を行い、滑走モードへ装備外しや切替を行った後。
先行していたAK氏の動きを頭上に確認するが見えない、15m程の距離なのだが時折開ける視界の中でお互い手旗信号? で金山沢源頭部へ退却を合図する。

さて退却の滑走と気持ちを落着かせる。
足元を見つめていると、ブリザードの横殴りの降雪に目まいがする(止まってが、滑走してる錯覚になる)。
視線を遠くに置き、滑走はスキー板の行くままに任す。

金山沢源頭部の窪地に入ると風も幾分収まっている、ここで3人無事揃うのを待つ。

pm2:00過ぎだが、この小蓮華岳と船窪岳に広がる広大なカール状の斜面は 我々だけの天地となっていた。
標高2300付近を境に上部は、吹雪状態、下部は谷底まで見渡せる視界良好となっている。
少し降った処で、遅くなったが昼食とした。

ここからは金山沢を白馬大雪渓合流点までの、滑走を楽しんだ。
白馬大雪渓合流後は、ブナ林の雪面を猿倉山荘駐車場まで滑り込む。
車に置いていた残りの食料や火器用燃料、そして一人当たり2Lの水を満たして、今朝準備した、猿倉台地BCへ登り返すのだ。
この登り返し 小一時間が、苦しい。
しかし、夕焼けが明るいので、明日が楽しみだ、頑張ろう。
BCには、名古屋から駆けつけた、KNチームが 隣にテントを張っていた。
ヤー、ヤー、と1年ぶりの再会を喜ぶ。

猿倉山荘前からタクシーで栂池スキー場へと移動。
栂池ヒュッテへのゴンドラ終点、連休と云えど我々以外は誰も居ない。
栂池自然園を横断するが天候は下り坂となるようだ。
前方の右肩へ取付くと船窪岳への最短コースとなるのだが、天候が、、
猿倉台地からの展望:正面の尾根の左谷が小蓮華沢、右谷が金山沢である。
猿倉台地、我々のテント場。